神戸学院大学

現代社会学部

語り部KOBE1995の崔敏夫さん、崔秀英さんがポーアイ教養科目「防災・防犯入門」で講演しました

2023/07/18

崔さん親子を紹介する舩木先生
崔さん親子を紹介する舩木先生
崔敏夫さん
崔敏夫さん
崔秀英さん
崔秀英さん

7月11日、現代社会学部 舩木伸江教授が担当するポーアイ教養科目「防災・防犯入門」において、語り部KOBE1995に所属する崔 敏夫(チェ ミンブ)氏、秀英(スヨン)氏親子が、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災における自身の被災経験について講演を行いました。秀英さんは、2023年に語り部となられ、親子2人が揃って講演を行うのは今回が初めてです。
 
まず、敏夫氏が震災当時の状況を語りました。神戸市須磨区の自宅2階で寝ていたところ、突然下から突き上げるような強い衝撃を感じ、数秒後には大きな横揺れを感じ、立つこともできない状況でした。電気が消え、真っ暗闇の中で家の外に出ると2階が崩落し、1階が瓦礫で押しつぶされていました。1階で寝ていた次男の秀光(スグァン)さんを救出するため探しましたが、秀光さんからの返事はありませんでした。瓦礫に押しつぶされた姿を見つけると、涙が止まらなかったと話しました。

秀光さんは成人式に出席するため、東京から神戸への帰省中で、元々は1月16日に東京へ戻る予定でしたが、秀光さんの体調を気遣い敏夫氏がもう1日泊まるように引き留めたところ、1月17日の早朝に震災が発生し、震災の被害に遭いました。敏夫氏は「まさか翌日震災が起こると思わなかった。自分の一言で次男を死なせてしまった」と後悔を語りました。この経験から自分が何を出来るのかを考えるようになり、現在も語り部の活動を続けています。最後に「語り部活動では、命・愛・絆の3つを大事に活動している。皆さんも悔いのない生活を送れるように過ごしてほしい」と学生に語り掛けました。

続いて、敏夫氏の三男の秀英氏が、高校2年生の時に被災した当時の体験を語りました。自宅は全壊全焼で、兄(秀光さん)が亡くなり、これからどうやって生きていけばいいか毎日泣いて過ごしたそうです。遺体安置所に並べられた多くの遺体や、無法地帯と化した神戸のまちに絶望を感じながらも、毎日のように届く救援物資から助け合いの精神を感じ、生き方を考えさせられるターニングポイントになったと話しました。その後は亡き兄と同じ大学に進学し、当時助けてくれた同胞たちへ恩返ししたいという思いで、団体職員や語り部の活動を行っています。秀英氏は「震災を経験して人生観が変わった。人間はいつ死ぬか分からないので、後悔のないように行動してほしい」と学生たちへ訴えかけ、授業を締めくくりました。

■受講した学生の感想
□現代社会学部4年次生 大岡弘奈さん
災害を知るときにまず怖さを知るべきだと話されていたことが強く印象に残っています。私が阪神・淡路大震災の怖さを直接的に知ることはできません。ですが、今回のように語り部さんのお話を聞いて怖さを知ることで、次に起こるかもしれない災害に向けて備えをすることにつながると感じました。また、お話を聞いて、後悔しないように生活したいと強く感じました。震災によって人生観が変わったと話されていました。災害はいつ起こるか分からないからこそ備えること、日々の生活でも何事も挑戦することなど、毎日後悔しないように全力で生きていきたいと感じました。

□現代社会学部4年次生 稲澤遥樹さん
「『もう一日、残って帰ったらどうや?』と言った私の一言が、彼を死なせてしまった」この言葉がとても強く、そして重く感じました。人がいつ死ぬか、ましてや地震がいつ来るかなんて誰にも分かりません。自分の一言が間接的にでも彼を死なせてしまったという事実に対する自責の念は計り知れないものがあると感じました。そんな中で、事実を受け入れ、明るく安心する街を作ろうと自治会を再編した崔敏夫さんの行動力を尊敬するとともに、見習っていきたいと思いました。

本講義の様子は、以下のメディアで掲載・放送予定です。
7月12日 神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202307/0016572774.shtml
7月18日 サンテレビ「NEWS×情報 キャッチ+」