大学は、一義的には「学びの探求」を行う教育・研究機関です。しかし、私たち神戸学院大学は、私たちが所在する「地域」との繫がりなしには、存立かつ継続しえないことを強く自覚しています。神戸学院大学のステークホルダーに学生やその保護者の方々、教職員だけではなく、地域の住民の皆さん・こどもたち、自治体、産業界をも含めている意味がここにあります。
この自覚の上にたって、私たち神戸学院大学はどうありたいのか、どのようになっていくべきなのか、課せられた使命は何であり、それらにどのような姿勢で取り組んでいくのか。このことを教職員一体となって検討し、大学全体の総意で決定した「私たちの志」と呼ぶべきものを、長期ビジョン及び全学的戦略「神戸学院大学グランドミッション」としてここに公表致します。神戸学院大学の新たな未来の創造にご期待いただければ幸いです。
Ⅰ.長期ビジョンの策定
神戸学院大学が2041年に創立75周年、学校法人神戸学院が2042年に創立130周年を迎えるにあたり、そこに至るまでの2040年に向けて、本学の長期ビジョンとして、KOBE GAKUIN INNOVATIVE VISION 2040-Leading to the Future「未来と繫がる改革ビジョン2040 -人と、地域と、世界と繫がるために-」を策定いたしました。
Ⅱ.校祖と初代学長の思いの継受
本学の設置母体の学校法人神戸学院は、森わさ校祖が、日本婦人本来の美徳を身に付けた女性の育成を志し、1912年（明治45年）、8人の生徒からなる私立森裁縫女学校を創設したことに始まります。校祖は、学校創設にあたり、「報恩感謝」「自治勤労」を校訓として掲げ、恩謝の情操を陶冶し、勤労奉仕の精神を振興して、自主独立の生活ができる人間を育成しようと考えました。校訓に込められた校祖の思いは、その後も神戸学院大学の建学の精神や附属中学校・高等学校の校訓に脈々と受け継がれています。
校祖の長男で、神戸学院大学の創設者であり初代学長の森茂樹博士は、世界的に著名な体質医学の権威でしたが、博士が京都大学医学部教授を経て、山口大学の学長を退官後、新たに大学の創設を決意したのは、国立大学にないユニークな総合大学を念願してのことでした。そして博士は、建学の精神「真理愛好」「個性尊重」を掲げ、1966年（昭和41年）、栄養学部だけの単科大学として、神戸学院大学を創設しました。
以来、本学は、その建学の精神の下、自主的で個性豊かな良識ある社会人を育成する努力を重ね現在、10学部・8大学院研究科を有し、学生数１万１千人余を擁する関西有数の文理融合型私立総合大学へと発展しました。今後も、グローバルな視野に立ち、高度な学理の修得と研究の実践を図ることのできる積極的、創造的また国際的な人材を育成するため、更に努力を続けていく所存です。
Ⅲ.地域と繫がる大学―社会的存在意義
阪神・淡路大震災（1995年1月17日：発生）の震源地に最も近い総合大学として、本学は「社会との繫（きずな）」「いのちの大切さ」を念頭に地域の復興に尽力し、防災やボランティアなど教育活動を展開してきました。以来、産業界、自治体、地域との連携で、新しい大学の価値を創出することを目指しています。そして、本学は、このような活動を通じて、「地域と繫がる大学」として、その社会的存在意義が認められています。
Ⅳ.ビジョンの構成
この「未来と繫がる改革ビジョン2040」は、校祖と初代学長の思いを継受し、学校法人神戸学院や神戸学院大学、及び附属中学校・高等学校が創立以来、創り上げてきた理念や建学の精神に基づき、構成されています。
全学的戦略「神戸学院大学グランドミッション」
校祖や初代学長の思いから、現在まで策定されてきた理念や方針・計画等と、長期ビジョンを繫ぐ全学的戦略として、「神戸学院大学グランドミッション」を策定し、以下の5分野における各ミッションを遂行します。尚、本ミッションは、中期行動計画と連動することを前提とします。（5分野：計32項目を策定）
- 文理融合型総合大学として社会や地域のニーズに適応した教育の展開
- 多様な学生が安心して快適に学べる環境の提供
- 多様な教員による全学教育・共通教育の促進
- 教育の質保証を支える教員組織の充実と有効性の確保
- 未来を生き抜くための基盤となる学士課程教育の質的向上
- 高度専門人材を育成する大学院課程教育の充実
- グローバルな視点を持ちつつ地域と繫がる教育の実践
- 様々な経験や価値観を持つ人材の受け入れによる教育の活性化
- 附属学校との連携推進による相乗的教育効果の創出
- 充実した学生生活が送れる支援体制の確立
- 学生の成長と自己実現のための支援機能の強化
- 多様性に配慮した支援とキャンパスの整備
- 個性を生かせるキャリア形成への支援提供
- 課外活動やボランティア活動など様々なことに挑戦できる支援体制の充実
- 文理融合型総合大学として学際的・学融合的研究の展開
- 学部・研究科の枠を超えた協働・共創の促進
- 研究環境・研究支援体制の整備充実
- 学外研究資金の戦略的獲得
- 学外・海外の様々な機関との連携や産学官共同研究の推進
- 持続可能な未来を切り拓くための課題解決への挑戦
- 地域連携の仕組みや基盤の構築と拡充
- 教育研究成果の社会や地域への還元
- スポーツや文化活動を通じた地域・社会貢献活動の推進
- 地域活性化のための人材育成への注力
- 学生の社会貢献活動や能動学習の促進と支援体制の充実
- 内部質保証システムの改善と機能向上
- 効率的・効果的な教員組織と事務組織の運営と教職協働
- 寄付や産学共同研究による多様な外部資金の獲得
- 財政基盤の安定化と財政運営の効率化・健全化
- 戦略的広報の展開による神戸学院ブランドの認知と浸透
- 多様な人材の活躍を促進する組織や制度の構築と拡充
- 学生・保護者・卒業生など様々なステークホルダーとの互恵互助
