神戸学院大学

現代社会学部

中東パレスチナ自治区ガザをめぐる情勢に詳しいジャーナリストの藤原亮司さんが社会防災学科「開発途上国論Ⅰ」の授業で特別講義しました

2025/10/03

特別講義する藤原さん
特別講義する藤原さん
藤原さんの特別講義を聴く学生たち
藤原さんの特別講義を聴く学生たち
メディア報道の誤りを指摘する藤原さん
メディア報道の誤りを指摘する藤原さん
開催されている藤原さんの写真展「もう存在しないガザの日常」
開催されている藤原さんの写真展「もう存在しないガザの日常」

現代社会学部 社会防災学科の 水本有香教授が担当する「開発途上国論Ⅰ」の授業で ジャーナリストの藤原亮司さんが特別講義しました 。2回連続講義の1回目です。

藤原さんはフリージャーナリストのグループ「ジャパンプレス」に所属し、これまでイスラム圏諸国を中心に海外の紛争地や東日本大震災などの国内の被災地などで被害者や被災者に寄り添う取材を続けてきました。初回の講義のテーマは「ガザ虐殺 逃げる場所はもうどこにもない」。イスラエル占領下のパレスチナ自治区であるガザやヨルダン川西岸地区でイスラエルによる残忍な行為とパレスチナ系住民の飢餓と苦境、国際社会の無力さと無関心、国内外メディアの不正確な報道を厳しく批判しました。

2023年以降のイスラエルの攻撃により、罪のないガザ市民6万5000人以上が殺されているにもかかわらず、「殺害」という言葉を使わず「死亡」と、あいまいな表現をするメディアの姿勢をまず藤原さんは批判しました。「パレスチナとイスラエルの戦争」という言い方も正確ではなく、「パレスチナ人が住んでいた土地を奪って建国したイスラエルに対して、支配されてきた人々が抵抗している」というのが事実だと話しました。

また、「ハマス」は2006年、民主的な選挙によって誕生し、軍事部門の「カッサーム旅団」のほかに医療、教育、社会福祉などの行政部門があり、ハマスの全メンバーが武装勢力ではないとも藤原さんは指摘。「テロ」「テロリスト」というあいまいな言葉が人を思考停止に陥れる危険性や、メディアに登場するニュース解説者が「宗教対立」だと間違った捉え方をしていること、ハマスは1967年の国連安保理停戦決議に基づく国境線を前提にイスラエルと共存を認めていることを誤解されている点など、不正確な世間やメディアの認識の問題点にも言及しました。

また、「ハマスが子どもを生きたままオーブンで焼き殺している」などというデマが横行しているという藤原さんの話を受けて、学生からは、(イスラエルやロシアなど国家の意図的な工作により)蔓延している「デマ」を止めることはできないのかと質問が出ました。 藤原さんは「本物そっくりなサイトでフェイクニュースが多数出回っていて、事実かどうかを検証するファクトチェックをしても、もはやそれを止めることは難しい」として、「民間人を殺してはいけないという当たり前の原則に立ち返って考えるしかないのではないか」と答えました。

■藤原さんの「ガザ」写真展をポーアイキャンパスD号館1階で開催
ポートアイランド 第1キャンパス D 号館 1階のコミュニケーションボードで10月2日~16日(日曜は休み)、藤原さんが過去にガザで撮影した写真29枚のパネルを展示した写真展「もう存在しないガザの日常」が開かれています。入場自由、無料です。藤原さんがガザ撮影した動画も上映されています。