神戸学院大学

総合リハビリテーション学部

土曜公開講座「アドラー心理学とストレングス視点をくらしに活かす」を開催しました

2025/05/29

講義する藤田准教授
講義する藤田准教授
講義を聴く受講者
講義を聴く受講者

総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科の藤田裕一准教授による土曜公開講座「アドラー心理学とストレングス視点をくらしに活かす」を5月17日は有瀬キャンパスにて開催し、144人が参加しました。

今春の土曜公開講座は第89回となり、「私たちのくらしと文化」という統一テーマに基づき、各研究分野の教員が全5回の講義を行います。

藤田准教授は、生まれつき下肢障害と膀胱直腸機能の内部障害があり、車椅子中心の生活を送る身体障害者であるという立場から「障害者が感じる幸福感と、障害に対する捉え方、障害の意味づけの変化」をテーマに研究しています。

はじめに、土曜公開講座の統一テーマである「くらし」について、「生きて活動していること」と定義し、その中には「よりよく幸せに生きること」が含まれると自身の考えを述べ、自分らしく幸せに生きるためのヒントを紹介したいと参加者に伝えました。

講義の前半は、アドラー心理学について解説しました。これは「人は目的のもと生きている、幸せになるには勇気を持つ」という考え方であり、その特徴として代表的な「目的論」「ヨコの関係」「課題の分離」「勇気づけ」の四つを紹介しました。そのうち一番根本にある「目的論」とは「人間の行動には全て目的があり、自分が現在置かれている状況は自分の目的を達成するために自らが選択した道である」「過去や他者は変えられないが、今と自分は変えられる」というものであり、人が生きくらすうえで希望の湧くような魅力的な考え方であると説明しました。

講義の後半では、人間の長所や強み(ストレングス)に注目し、それを活(生)かすという考え方である「ストレングス視点」について、障害者を例に挙げて説明しました。障害があるからできないことがある「障害特性」と、その人自身の「個人特性」を分けて考えることが大切であるとし、仮に障害があったとしても、個人特性の中にあるストレングスを活(生)かして例えば仕事に就き、人の役に立っていると思えることで、アドラー心理学における「共同体感覚」(人間の幸福感を高める要因)における「貢献感」の高揚につながると述べました。

さらに、ストレングス視点は障害者以外の人にも有用な考え方だとして、ストレングス視点を具体的にイメージするために「ワークシートに書かれた性格をポジティブに言い換える」というワークを行いました。例えば、一見ネガティブに捉えられがちな「せっかち」という性格を「関心が色んなところに向く」というポジティブな性格に言い換えることで、短所と思っていた性格を長所(ストレングス)と思えるようになると紹介しました。

最後に、藤田准教授は「参加者一人ひとりの今後のくらしに、アドラー心理学やストレングス視点が少しでも参考になり、1つでも取り入れてもらえたらと思います。幸せな生活に結びつくことを祈っています」と参加者に語りかけ、講演を終えました。

参加者らは「気づきが多く勉強になった」「自分らしく幸せに生活できるポジティブな考え方をしたいと思った」といった感想を寄せ、盛況のうちに終了しました。

次回5月31日は、法学部の春日勉教授による「育まれる命 -「生殖補助医療」について考える-」です。