神戸学院大学

グローバル・コミュニケーション学部

グローバル・コミュニケーション学部の授業でスタイリストのFUKAMIさんが「グローバル人材とは?」と題して講演しました

2023/09/21

関心を集めたFUKAMIさんの講演
関心を集めたFUKAMIさんの講演
「完璧でなくても伝えることが大切」と話すFUKAMIさん
「完璧でなくても伝えることが大切」と話すFUKAMIさん
FUKAMIさんの講演を熱心に聴く受講生ら
FUKAMIさんの講演を熱心に聴く受講生ら
FUKAMIさんからの質問の回答を考える受講生ら
FUKAMIさんからの質問の回答を考える受講生ら
授業を担当した中西教授(左)とFUKAMIさん
授業を担当した中西教授(左)とFUKAMIさん

グローバル・コミュニケーション学部の授業「グローバル化と言語」の第1回が9月20日、ポートアイランド第1キャンパスであり、国内外で活躍するスタイリストのFUKAMIさんがゲストとして「グローバル人材とは?」の演題で約1時間、講演しました。

FUKAMIさんは「弱い(weak)ところを終わり(end)にして自分を愛していく」という意味を込めた新たなファッションブランド「weakend」のブランドマネージャーを務めています。「東京ガールズコレクション」のスタイリング担当、各種ドラマのスタイリングアドバイザーなど、幅広い活動ぶりの紹介に受講生の関心も高まりました。

■海外で食生活が不安ならみそ汁、しょう油、海苔などを持って行く
「海外に行くときに心配なことは何ですか?」とのFUKAMIさんからの問いかけに、ある学生は「食べ物が心配です」と答えました。FUKAMIさんは「食べ物の心配は私もありますが、みそ汁やしょう油、海苔、ふりかけなど、日本人にとって、あると落ち着く食べ物(調味料)を持って行くと安心です」とアドバイスし、「ある社会主義国などでは食べ物が口に合わず、苦労しました」と、自身の体験を付け加えました。

続いて「日本に来るときに心配だったことは何ですか」との問いかけには、ある留学生が「言語の壁でした」と答えました。FUKAMIさんは、「私自身、英語をしっかり勉強したのは去年の6月から3カ月間、イギリスに留学した時くらいです。文法もよく分からない。でも仕事をしていたので英語を使うことが多かった。下手でも(苦労して外国語で)しゃべろうとする人に対しては興味がわきます」と、応じました。さらに、日本を含むアジアでは、「英語を完璧にしゃべる」ことで人をジャッジ(評価)する傾向があるとして、「ジャッジすることをやめると、自分をジャッジすることもやめ、完璧に話せなくて良いと思うようになります」と、考え方の転換を勧めました。

■行ってみたい国、やりたいことを想像してみる
次にFUKAMIさんは「自分が生まれた国とは異なった場所で、自分がどんなふうに何をしている様子を想像しますか」と質問し、実際に自分が好きなことをしている様子を想像するよう促しました。FUKAMIさんは自身の体験談として、「イギリスで食事に誘われるとこれから2時間、英語を話さないといけないと思うと憂鬱(うつ)でした。でも英語はツールだと考え、ファッションやアートなど下手でも好きなことを話すようにすると友だちができました」という例を挙げ、「皆さんもざっくりでいいから、行ってみたい国、やりたいことを想像してみたら良いのでは」と提案しました。

さらに差し迫った問題として受講生が「留学した時に言語を学ぶうえで意識するようにしていたことは」と尋ねました。FUKAMIさんは「日本語は語尾を変えることで文の意味を変えることができます。一方、英語は言いたいことを先に言います。つまり話す言語によって人格も変えられます。私は英語を話すときはなりたかった自分になることにしています」と、興味深い答えでした。

「初めて海外に行ったとき、言葉の壁はありましたか。(壁に起因する)トラブルや解決方法は」との問いには「言葉の壁を感じるのは英語を公用語にするアメリカやイギリス。その他の国では壁は感じません。ニューヨークではうまく聴き取れなくて、『すみません』と言っても英語の速度は緩めてくれません」と答えるにとどめました。

■海外に行って、無意識の偏見に気づいた
「留学に行って一番印象的なエピソードは」との問いには「自分に無意識の偏見があると分かったことです。(留学ではなく仕事で行った)ニューヨークのエレベーターでアフリカ系アメリカン(黒人)の人が乗って来られると無意識に少し身構えていました。同じ肌の色の人とだけ生活していると陥りやすいことです。友だちにも怒られました」と答え、反省点を口にしました。

「外国で日本よりグローバル化が進んでいると感じたことは」の問いには「多様性です。難民や移民に対する寛容性です」と回答。「逆に日本の方が外国よりグローバル化が進んでいると感じたことは」の問いには「あまりないですが、技術力でしょうか。でも最近は落ちてきました」と回答しました。

■外国語で自分の好きなことを話す訓練をしておく
「英語で話す時に気をつけていること」としてFUKAMIさんは、①恥ずかしいと思わないこと②仕事で英語を使う時は、慣れている人と組めるようにお願いする③海外で活躍するグローバル人材として、特にビジネスで話す場合はきちんとした対応をする――の3点を挙げました。「最後に『Thank you.』と付け加えると日本的でいいねと言われます」と、自身の経験から紹介してくれました。「他人に自分の好きなことを話す訓練をしておきましょう」と、海外生活で役に立つアドバイスもありました。

最後に授業を担当した英語コースの中西のりこ教授が「あいまいなものを許容することが必要」「外国語が100%完璧でなくても話す」「ただし、ビジネス交渉の場合は100%でないといけない」と、講演で学んだことをまとめました。