神戸学院大学

グローバル・コミュニケーション学部

GC学部開設10周年記念事業の一環で兵庫県国際交流協会専務理事の特別講義がありました

2025/07/29

特別講義する兵庫県国際交流協会の横川太専務理事
特別講義する兵庫県国際交流協会の横川太専務理事
学生にメッセージを伝える横川専務理事
学生にメッセージを伝える横川専務理事
特別講義を聴く学生ら
特別講義を聴く学生ら
学生や教員との質疑応答
学生や教員との質疑応答

グローバル・コミュニケーション学部・入門ゼミの授業で7月23日、公益財団法人兵庫県国際交流協会の横川太専務理事による特別講義がありました。学部開設10周年記念事業の一環です。

横川専務理事は兵庫県庁出身で、2014年には県欧州(パリ)事務所長、2020年には国際局長を歴任。これまでにも、外務省に派遣出向してオーストラリアの在パース日本国総領事館で領事を務め、またJICAにも派遣出向するなど国際交流・国際協力の業務一筋です。県の外郭団体である同協会に移ったのは2021年。同協会の業務は、外国人県民(在住外国人等)を主体とした多文化共生社会を推進するさまざまな事業や、県の海外事務所3カ所(フランス・パリ事務所、米国シアトル・ワシントン州事務所、香港経済交流事務所)の管理運営、国際交流の拠点となる「ひょうご国際プラザ」の運営など多岐にわたります。

講義のテーマは「世界の中の兵庫県~『グローバル市民』としての意識を持つこと」。兵庫・神戸の国際性を示す例として、開国地神戸として新しい文化を積極的に取り込んできた歴史的な背景や、それゆえに神戸発祥の商品や娯楽・スポーツが数多くあることを挙げました。また兵庫県は外国の七つの国や地域などと友好・姉妹提携しているほか、14の地域とも教育などテーマを決めた交流を展開しているとの説明もありました。

県の国際政策が転換する節目と変化についても紹介してもらいました。まず1990年代初頭からの来日外国人の急増で県内でも在住外国人が増加し、1993年には兵庫県地域国際化推進基本指針が策定された状況がありました。

■阪神・淡路大震災が県の国際政策転換のきっかけに
1995年には阪神・淡路大震災が発生しました。増えていた外国人県民の立場の弱さが可視化されたことなどが転換の起点となり、「内なる国際化」に対応する多文化共生社会の実現に力が入るようになったといいます。また、阪神・淡路大震災で海外から受けた援助・支援の大きさや相互扶助精神の広がりは県民の行動に影響を与え、1999年のトルコ北西部地震では県からの義援金が2億3000万円を超えたことも紹介されました。「県の国際災害支援や国際防災協力の姿勢の変化につながった」というのも自然な流れでした。

「最も刺激的な仕事だった」と振り返ったのは2005年から5年間のJICAへの派遣出向時代でした。国際緊急援助隊事務局で世界各地での研修や訓練に参加したほか、2005年10月に発生し、7万3000人を超える死者を出したパキスタン地震(M7.6)では、国際緊急援助隊第1次医療チームに調整員として参加して現地入りしました。「現場はこれまでも紛争の続く北部山岳地帯で文字通りの地獄絵図でしたが、支援活動は世界での日本のプレゼンスを高めました」と述べました。

■「グローバル人材のキーポイントは好奇心」
最後に、横川専務理事は日本人初の国連難民高等弁務官でJICA理事長も務めた故・緒方貞子さんの「次代を担う皆さんへ」と題した緒方貞子メモリアルギャラリー入口に掲示されたメッセージ「……日本も様々な形で、いい考え方、いい試み、多様な幸せの在り方を打ち出して、他を引っ張っていける立派な人々と、国であってほしいと思っております」を読み上げ、さらに緒方さんの言葉「自分の国だけの平和はあり得ない。世界はつながっているのだから」とともに、その根底にある「人間の安全保障」の概念を紹介しました。「JICAでは私のような一介の派遣職員の報告もしっかり受け止めてくださった」と緒方さんの思い出も語りました。

この後、学生や教員からの質問に移りました。「こういう人物はグローバルに活躍できる、こういう人材を用いたいと評価されるキーポイントは何ですか」との質問に横川専務理事は「いろいろなことに好奇心を持ち、自ら相手側に近づいていく姿勢を持っていることです」と答えました。