神戸学院大学

グローバル・コミュニケーション学部

GC学部の授業で兵庫県国際交流協会事業推進部の永田次長が講演しました

2023/11/24

「グローバル化と言語」の授業で講演する兵庫県国際交流協会の永田さん
「グローバル化と言語」の授業で講演する兵庫県国際交流協会の永田さん
講師の永田さん(左)を紹介する大濱教授
講師の永田さん(左)を紹介する大濱教授
永田さんの講演を聴く学生たち
永田さんの講演を聴く学生たち

グローバル・コミュニケーション学部の授業「グローバル化と言語」で11月22日、公益財団法人兵庫県国際交流協会事業推進部次長兼交流・協力課長の永田展之さんが特別講義しました。

演題は「ブラジル日本移民の歴史 ブラジルと兵庫県の交流」。授業担当の大濱慶子教授(学部長)から永田さんの紹介がありました。永田さんは1993年に兵庫県庁に入庁。国際交流業務に長く携わり、2017年から22年まで5年間、兵庫県と姉妹提携しているブラジルのパラナ州に駐在して県ブラジル事務所長を務めました。ブラジル通として現地に広いネットワークを持っています。

講義はブラジルの風土や自然、文化の説明から始まり、国民的スポーツであるサッカーに対する熱愛ぶり、世界三大瀑布と称されるイグアスの滝、サンバのリズムで国中が熱狂する「カーニバル」、盛んなコーヒー栽培についてクイズも交えながら紹介してもらいました。

日本から同国への移民の歴史は古く、神戸から始まりました。1908年、貨客船「笠戸丸」が神戸港を出港しました。背景には日露戦争後のわが国の人口急増と、「一攫(かく)千金」を狙えとばかりにブラジルなど海外移民を奨励した国の施策があったといいます。一方、ブラジル側でも奴隷の解放による労働力不足があり、多くの日本から到着した移民が原野を開拓し、コーヒー農園で働きました。「日本移民は差別や貧困、劣悪な生活環境に耐えて働き、ブラジル農業の躍進に貢献した」と永田さんは語りました。その勤勉さは「ジャポネ ガランティード(保証付き日本人、日本人なら間違いないという意味)」というポルトガル語として広がり、定着したといいます。

1928年に開設された旧神戸国立移民収容所は移住を前に言語などの研修を受ける場所で後に神戸移民センターとなり、現在は「海外移住と文化の交流センター」(神戸市中央区山本通3丁目)として内部に移民ミュージアムを設置しています。「センターの前にはブラジル移民発祥の地と書かれた石碑も建っており、ぜひ訪ねてみてください」と、永田さんは、国際都市・神戸を海外移民という側面から学んでみることを提案しました。

県内の主要都市はブラジルの都市と姉妹都市として交流しています。たとえば姫路市はパラナ州の州都クリチバ市、加古川市は同州のマリンガ市、神戸市は「リオのカーニバル」で有名なリオデジャネイロと姉妹都市となっており、それぞれの交流ぶりも紹介してもらいました。

永田さんのブラジル紹介は生活した人にしか分からない面白さがありました、日本製輸入マヨネーズは高価すぎるので、かけすぎると白い目で見られる。ブラジルの政権交代は役所の役付きの人までガラリと入れ替わる。アマゾン料理には尻込みしそうなアリの素揚げがある……などと続きます。

最後に永田さんは駐在中に心掛けたこととして①信頼されること②ネットワークを広げる③社会との絆を大切に――の3点を挙げました。「①は小さな約束も守る、②は参加する、③は寄付でも何でも自分にできることは何でもして、社会との接点を持つ」と補足して講演を締めくくりました。