経済学部の1年次生がロボットシステムインテグレータ業界について学びました
2025/11/18
経済学部の林隆一教授が担当する1年次生対象の「基礎演習」の授業で、一般社団法人「日本ロボットシステムインテグレータ協会」幹事を務める株式会社田口鉄工所(本社・岐阜県大垣市)取締役の田口頼之さんが11月11日、特別講義しました。
演題は「ロボットに命を吹き込む仕事『ロボットシステムインテグレータ』とは?~ロボットの裏方って地味? いや、めっちゃ熱いんです~」。学生の関心は高く、計11ゼミからの参加がありました。
「ロボットシステムインテグレータ(SIer)」とは、「ロボットを使用して機械システムの導入や設計、組み立てなどを行う事業者」を意味します。田口鉄工所は精密部品加工を主要な業務とし、ロボットSIerとしての業務にもあたっています。田口さんは大学医学部に入学した後に工学部に移り、大阪大学大学院に進んで基礎工学を専攻しました。化学素材メーカーに就職した後、弁理士の資格も取得し、特許事務所を開設していたという異色の経歴の持ち主です。
講義は日本の製造業の現状から始まりました。現場は人手不足や熟練労働者の引退で厳しい状況にあり、ロボットの導入は労働者の働き方改革も含めて救世主になるかもしれないとの期待が示されました。製造現場の自動化を一歩進めた自律化によるスマートファクトリーの誕生による21世紀前半の第4次産業革命の担い手は日本なのか、中国なのか米国なのかとも問いかけました。
■世界のトップを走る日本のロボット産業
「日本ロボットシステムインテグレータ協会」は協力会員を含めて331社で構成しています。日本はロボットの生産では世界のトップを走っており、世界4大ロボットメーカーのうち3社が日本の企業です。世界の産業用ロボットの総出荷額の55%は日本企業が占めているとのデータも示され、ここにロボットSIerにとってのビジネスチャンスがあります。
ロボットSIerの業務については、産業用ロボット導入にあたって事前の検討、企画構想、仕様定義、設計、製造、納入前テストの過程があり、稼働後は保守点検業務も加わります。田口さんは、システム要件と機械仕様を組み合わせる「現場の脚本家です」と表現しました。
■文系にも就職のチャンスあり
田口さんは「ロボットSIerで働くには文系も理系も関係がない」とし、「文系の調整力、提案力、コミュニケーション力は仕事に生かすことができる」と述べました。田口鉄工所でもロボットインテグレーションの部門は文系出身の女子社員が責任者になっているといいます。
ロボットSIer業界の現状について、現在、産業用ロボットが導入されている工場の大半は自動車製造ラインと半導体関連で、それ以外の中小企業については、ほとんど手つかずとの話でした。業界でエンジニアは不足しており、デジタル力を活用できる人材は引く手あまたという事情はどの業界でも共通しているようです。
最後に林教授が「いろいろな仕事を経験された後、ロボットSIerで働かれて良かったこと、やりがいは何ですか」と質問しました。田口さんは「新しい技術や人材がどんどん入ってきていることです。今、田口鉄工所で新しいシステムを作っているのはアルバイトの大学生3人です」と述べました。




