神戸学院大学

経済学部

みずほ証券株式会社と兵庫県庁による「特別講義」を開催しました

2025/06/13

講義を行う関谷教授
講義を行う関谷教授
みずほ証券の香月氏
みずほ証券の香月氏
兵庫県庁の大西氏
兵庫県庁の大西氏
兵庫県庁の稲岡氏
兵庫県庁の稲岡氏
質疑応答で発表する学生
質疑応答で発表する学生

経済学部の関谷次博教授が担当する「地域経済論 [生活]」で、6月11日にみずほ証券株式会社の香月康伸氏、兵庫県の大西智也氏・稲岡和樹氏が、産官によるSDGsの取り組みをテーマに特別講演を実施。経済学部の学生約100人が受講しました。

はじめに、関谷教授が2015年に国連サミットでSDGsが採択され、同年にパリ協定が結ばれたことに触れながら、高度経済成長期以降の大量生産・大量消費が、公害や地球温暖化といった負の遺産をもたらしている現状を指摘しました。日本の四大公害病の歴史を例に挙げ、自然と人間との共生関係が損なわれていることを説明。この課題を乗り越えるためには、単なる技術進歩だけでなく、人間を中心とした技術や、地域のコミュニティ、地場産業といった従来見過ごされがちだった要素の再評価が必要であると述べました。また「環境問題等について、まずは自分自身で何ができるかを考えてほしい」と学生らに投げかけました。

次に、みずほ証券株式会社 サステナビリティ推進部の香月氏が、企業視点でのSDGsやESGへの取り組みについて解説。企業の社会的責任(CSR)から、投資家からの評価を含むESG、そしてマルチステークホルダーからの評価へと広がるSDGsへの流れから、SDGsの達成に向けたプロセスとしてESG投資が位置づけられていると説明しました。また、仕事を通じて「人の役に立つ」ことが人間の幸せにつながるという視点から、就職活動を迎える学生に対し、企業のサステナビリティへの取り組みを仕事選びの一つの基準とすることを提案しました。さらに、近年の欧米ビジネススクールにおけるグリーンMBAの登場や、リーマンショック後のビジネス教育の変化にも触れ、サステナビリティがビジネスの根幹に関わるテーマになっている現状を共有しました。

次に、兵庫県庁人事班長の大西氏と資金財産班長の稲岡氏が、行政の立場から見たSDGsへの取り組みを紹介。兵庫県庁の仕事は、多岐にわたる専門職種を含め、県民の生活を支え、より良くすること、すなわち「地方創生」の実現を目指すものであり、これはSDGsの目標とほぼ一致するものであるとの認識を示しました。

兵庫県では、県内のSDGs認知度が全国平均を下回る状況から脱却するため、近年組織体制を強化し、さまざまな取り組みを展開しています。企業、団体、学校等が参加する「ひょうごSDGsHub」や、県と企業が連携協定を結びリソースを出し合う「ひょうご公民連携プラットフォーム」、大阪・関西万博を契機とした「ひょうごフィールドパビリオン」の展開についても言及しました。

さらに、兵庫県では地域のお金を地域で回していくため、ESG投資の一種「グリーンボンド(環境事業)」を発行。SDGs達成への取り組みの資金に充てています。グリーンボンドは通常の地方債に比べ利率が低くなるなど、投資家側にデメリットが発生する可能性があるものの、グリーンボンドに投資をした企業は、投資表明をすることでSDGsへの取り組みを社外に発信できるメリットがあります。この仕組みにより県内の多くの企業が投資していると、グリーンボンドの状況について解説しました。

最後に、実際の業種別投資表明企業の一覧を見せながら、「就職先を選ぶ際に、興味のある会社がどのような形でお金を集めているのか、どのようなことにお金を使っているのかという視点で見てもらうのも企業研究のポイントになると思う。卒業後も兵庫県で活躍してくれることを願っている」と述べ、講演を締めくくりました。

質疑応答では、学生から「SDGsの認知度について、企業だけでなく県民に対しての調査結果はあるのか?」「世界と比較して、日本のSDGsに対する取り組みや認知度は高いのか?」といった質問があり、みずほ証券香月氏は、学生に対して「自身は環境問題に対して意識が高いと思うか?」とった質問を返すなど、活発な質疑応答があり関心の高さをうかがい知ることができました。