経済学部で明石税務署による租税教室を開講しました
2025/12/11
経済学部で「演習Ⅰ」を履修する2年次生99人を対象に、12月2日、有瀬キャンパスで明石税務署による租税教室を開講しました。
国税庁では、毎年11月11日から17日までの1週間を「税を考える週間」とし、この期間を中心にさまざまな広報活動を行っており、今回の租税教室では、明石税務署の井原力副署長、松岡江利子税理士が、「これからの社会に向かって」をテーマに税の役割や税務行政の内容、現代社会が抱える財政課題について解説しました。
はじめに、税は警察・消防・ごみ収集・医療・教育など、私たちの暮らしを支える公共サービスを維持するために不可欠で、多額の費用が必要であり、その財源を国民が公平に負担する仕組みであると説明しました。
次に、税務署の組織や業務内容について紹介しました。税務署には、税金の徴収や滞納整理を行う「徴収部門」、法人税・消費税などについて申告指導や調査を行う「法人課税部門」などさまざまな部署があり、納税者の適正な申告を支援するとともに、公平・公正な課税の実現を担っていることを説明しました。
続いて、所得税・消費税・地方税など、日常生活に密接に関わる税の基礎について解説しました。アルバイト収入に関わる源泉徴収や、確定申告の仕組み、スマートフォンを活用した電子申告(e-Tax)の普及など、学生の生活に身近な内容も取り上げました。
後半では、国の歳入・歳出の現状や将来の財政課題について説明しました。社会保障関係費が国の支出の大きな割合を占めており、税収だけでは賄いきれず国債発行に頼っていること、少子高齢化の進行により現役世代1人あたりの負担が増加していることなど具体的な例を挙げ、財政の持続可能性について考える重要性を強調しました。
さらに、税の公平性を考えるワークとして、村に橋を作るためにどう費用負担を分けるかという事例を基に、所得割合、家族構成、家からの距離など、何を基準に「公平」を捉えるかによって負担の考え方が変わることを示しました。また、「年収の壁」の引き上げについても解説し、一定の収入を超えると扶養から外れ社会保険料の負担が発生することなど、アルバイトをする学生の生活に関わる内容にも触れました。
最後に井原副署長は、「今日の講義が税について考えるきっかけになれば嬉しい。税金がどのように使われ、将来どのような社会をつくっていくのかを自分ごととして捉えてほしい」とメッセージを送りました。
受講した学生からは「ゼミで国の財政について勉強しているので、実際に財政や税に関わる人の声を聞けてよかった」「年収の壁について、アルバイトをしている自分にも関係しているので勉強になった」などの感想があがりました。



