土曜公開講座「こころの余白を取り戻す-毎日を軽やかに生きるために-」を開催しました
2025/11/14
心理学部の土井晶子教授による土曜公開講座「こころの余白を取り戻す-毎日を軽やかに生きるために-」を11月8日にポートアイランド第1キャンパスにて開催し、147人が受講しました。
土曜公開講座は今秋で第90回目の開催となり「私たちのくらしと文化」という統一テーマに基づき、各研究分野の教員が全6回の講義を行っています。
はじめに土井教授は、日々の生活の中で予期せぬ出来事やアクシデントに直面した時に、落ち着いて適切な対応をするためには「心の余白」が必要であると説明しました。そして、心の余白をつくるための方法として、「今の自分の状態に気付く」「いっぱいいっぱいの心を整理する」「自分をいたわる」の3つを挙げ、具体的な講義に入りました。
まず、今の自分の状態に気付くための「セルフモニタリング」を紹介。参加者は質問票を用いて自身のストレスレベルや疲労度のセルフチェックを行いました。選んだ選択肢に応じてポイントを加算し、合計値に応じて心の疲労度などを診断しました。
続いて「こころの空間作り(クリアリング・ア・スペース)」について説明しました。「悩みは、考えないようにしようとすると、かえって囚われてしまう」という脳の仕組みに触れ、気持ちと戦わず、その気持ちがあることを認めて距離をとることの重要性を強調しました。
距離をとる方法の一つとして「こころの天気」のワークを行いました。深呼吸をして体の緊張をゆるめた上で、自分の心の状態を、天気や風景に例えてワークシートに表現します。これにより、客観的に気持ちが整理され、たとえ何一つ問題が解決しなくても心を休ませることができると説明しました。
最後に「セルフ・コンパッション(他人を思いやるように自分をいたわること)」について紹介しました。多くの人は、他者には優しくできるのに自分には厳しくしてしまう傾向があるものの、セルフ・コンパッションが高い人ほど心身の健康や幸福感が向上すると説明。参加者は「セルフ・コンパッション尺度」と呼ばれる12の質問に回答し、自身のセルフ・コンパッションの高さを測定しました。そして、セルフ・コンパッションを高める具体的な方法として「マインドフルネス」や「ジャーナリング(書く瞑想)」などを紹介し、「簡単にできるので、ぜひ今日からでもやってみてください」と呼びかけ、講義を締めくくりました。
参加者らは「自分の思考傾向や心の状態を知ることができた」「実生活で生かしてみたいと思った」といった感想を寄せました。
次回は、11月15日、心理学部の博野信次教授による「健やかなくらしを守るために認知症を正しく理解しよう」を開催します。


