神戸学院大学

心理学部

心理学部の加藤講師がシャーデンフロイデ(他人の不幸や失敗を喜ぶ感情)の感じやすさを測定する新たな手法を開発し、研究論文を海外のオンライン学術誌で発表しました

2025/05/22

心理学部の加藤伸弥講師が、性格傾向としてのシャーデンフロイデ(他人の不幸や失敗を喜ぶ感情)の感じやすさを測定する新たな心理尺度「SCI(Schadenfreude-by-Concern Inventory)」を開発し、その成果をまとめた論文が、海外のオンライン学術誌「Personality Science」(5月14日付)に掲載されました。論文は、武蔵野大学人間科学部の泉明宏教授との連名となっています。

「シャーデンフロイデ(Schadenfreude)」は、損害を意味する「シャーデン」と喜びを意味する「フロイデ」を合成したドイツ語の造語で、心理学では、他者の不幸を受動的に喜ぶ感情と定義されています。加藤講師は、男女計250人 を分析対象者としたオンラインアンケートの結果をもとにSCIの有効性を評価しています。

開発された尺度は、シャーデンフロイデが生じやすい典型的な状況 (社会的競争の動機が高まる場面、社会正義行使の機運が高まる場面)ごとに、この感情の感じやすさを測定するものです。具体的には、 社会的地位に関心軸が傾くことによって生じる「自己志向型シャーデンフロイデ」と、社会的規範の維持に関心軸が傾くことによって生じる「正義型シャーデンフロイデ」を定量化します。

論文では、「シャーデンフロイデという感情は、適切に理解・管理されないと、他者を不当におとしめる危険な行動(オンライン上の誹謗中傷、悪意のあるうわさ話など)につながる可能性がある」と指摘しています。そのため、心理学の研究においては、「性質の異なるシャーデンフロイデがどのような場面でどのような行動とつながるのかを詳細に検討することが重要であり、そうした研究に向けてSCIの開発は意義深いものである」と結論づけています。

論文の全文(英語)はこちら