神戸学院大学

心理学部

心理学部の岡村 心平講師が「健康づくりサポートプログラム」を実施しました

2023/12/21

講義を行う岡村講師
講義を行う岡村講師
グループワークの様子
グループワークの様子
ワークに取組む参加者
ワークに取組む参加者
呼吸を深め体を換気するため、あくびを行う様子
呼吸を深め体を換気するため、あくびを行う様子
講義の様子
講義の様子
左から中村 有杜さん、岡村 心平講師、佐江 徹さん、佐野 春奈さん
左から中村 有杜さん、岡村 心平講師、佐江 徹さん、佐野 春奈さん

心理学部の岡村心平講師が、11月12日三宮サテライトキャンパスで、健康づくりサポートプログラム course03【心の健康講座】ストレスとの上手な付き合い方~フォーカシングを用いて、うまく悩むコツを学ぼう~を開催しました。

「心の健康講座」は、ストレスとうまく付き合い、自分自身を大切にする具体的な方法を通じて、自分やその周囲の人達と、豊かに暮らすための秘訣の習得を目指すプログラムです。当日は第1部と第2部の2部構成で、30~50代のさまざまな世代の方11人が参加。プログラムでは3グループに分かれて行い、佐野春菜さん(心理臨床カウンセリングセンター協力員)、中村有杜さん、佐江徹さん(大学院心理学研究科)の3人がスタッフを務めました。

第1部


自身の日常の中でのストレス状況とそれに対する対処方略(コーピング)について、傾向を分析しグループ内で共有しました。

冒頭、岡村講師は、ストレスについて学ぶ本講座自体がストレスにならないよう、穏やかに楽しく実施できればと参加者に語りかけました。導入としてグループごとに自己紹介を行い、最近頑張ったこと、乗り越えたことについて語り合うアイスブレイクを行いました。

岡村講師は、「“外部からの何らかの刺激(ストレッサー)”と“ストレッサーによって引き起こされた何らかの心身の反応(ストレス反応)”の2つの組み合わせが、我々がストレスと呼んでいるものです。同じストレッサーに直面したときに、それをストレスに感じる人と感じない人がおり、反応は人によって違いがあるものです」と説明しました。さらに、デイリーハッスルと呼ばれる日常生活の苛立ちが心身に大きな影響を与え、「日常の苛立ちをどう乗りこなすか、どう上手く関わるか、ということが長期的に見たストレスケアには非常に重要です」と話しました。

参加者は、ハッスルスケールと呼ばれる尺度を用いて、日常生活において引き起こされるストレスの程度を測りました。その後、自身の傾向を振り返り、どのようなストレッサーに対して、どのようなストレス反応が生じているかをグループでシェアしました。ストレスのタネに気づくきっかけの時間を提供しました。

続いて岡村講師は、「自分なりのストレス対処法を振り返り、無自覚にやっていたことを意識的にすることは大切である」と話し、ストレスに対する意図的な対処方略である「コーピング」を紹介。コーピングは、問題中心コーピング、情動中心コーピング、回避中心コーピングの大きく3つに分けることができると説明しました。

その後、参加者は、自身のストレス対処法の傾向をWCCLコーピングスケールという尺度を用いて確認しました。最後に岡村講師は、「1つの対処法だけでなく、さまざまな対処法を持っているということが大切である」と話しました。

第2部


日常生活の中で感じるモヤモヤとした実感を生かして『うまく悩む』ためのスキル『フォーカシング』を体験的に学びました。

岡村先生は、「言語化できないモヤっとした感覚、例えば、予感や気分、場の雰囲気のようなものをフェルトセンス言います。自分の問題や状況について、身体的に感じられる“実感(フェルトセンス)”を手がかりに、理解を深める技法がフォーカシングです」と説明しました。さらに、カウンセリング場面を録音し、その記録を分析した実証実験の例を用いて、「カウンセリングにおいて、自身がどう感じているのかということを言語化するのが上手な来談者は、カウンセリングが成功する可能性が高いということもわかっています」と、説明しました。

心理療法の場面でも活用されているフォーカシングは、一人でも実施することができると説明し、第2部ではフォーカシングに関するワークを実施しました。

まずは「心の天気」というワークを行いました。日常を振り返る中で感じているフェルトセンスを「天気」に喩えて、白紙の紙に表現していきます。そしてグループ内で、それはどんな天気かを語り、これからどうなっていきそうか、どう過ごすのが良さそうかについて語り合いました。

参加者は穏やかな空気の中、多種多様な表現を用いて、「自分だけの天気」を描き、各自、作画やメンバー内での語り合いを通して、「今まで」と「今」、そして「これから」について、自身の思いを巡らせました。天気で気分を表現することのメリットとして、「『これから荒れそうなので意図的に予定を詰め込みすぎない方が良い』など、対策をイメージで考えることができ、対処法を語りやすくなる」と岡村講師は話しました。

さらに、自身を動物で例える「アニマル・クロッシング」、自身の実感や状況を漢字一文字で例える「漢字フォーカシング」を行い、さまざまな手法を用いて自分自身を捉え、自由な発想を通して自己理解を深める方法を学びました。

最後に岡村講師は、「悩まないといけない局面に出会った時に、うまく悩みと関わることができれば、人生の可能性が開かれていきます。“悩まない”ではなく、“うまく悩める”ように午前と午後のアイデアを活用いただきたい」と締めくくりました。

協力したスタッフの声
【中村 有杜  心理学研究科心理学専攻 修士課程】
参加者との交流を通して、ストレスの原因や今後の対策についての有意義な時間となりました。また、終始温かい雰囲気の中、参加者のみなさんと活発にコミュニケーションを取りながら学ぶことができました。特に岡村先生のご専門であるフォーカシングのワークでは、楽しく体験的に自分の状況を見つめ直すことができました。

【佐江 徹 心理学研究科心理学専攻 修士課程】
ワークの中には学校の講義で受けたことのある内容もありましたが、普段触れ合うことのない、人生の先輩方とワークを行うことで全く新しい体験となりました。特に参加者の方の豊富な人生経験から、心に関する気づきや、それ以外の仕事や子どもについてのお話も拝聴でき、これからの人生において大変学びの多い時間となりました。

【佐野 春菜 心理臨床カウンセリングセンター協力員】
「ストレスとの付き合い方とはどのようなものがあるのか、また、今の自分はストレスとどのように付き合っているのだろうか」そのような視点から、心の健康を維持・増進させるスキルアップのお手伝いをさせていただきました。受講者の皆様にとって、“受講している時間自体がストレス”にはならずに、楽しく有意義な時間になったようでしたら嬉しく思います。