神戸学院大学

心理学部

土曜公開講座「子育て・孫育てを楽しむ!カウンセリングの知恵袋」を開催しました

2025/12/18

講義する難波准教授
講義する難波准教授
講義を聴く受講者
講義を聴く受講者

土曜公開講座は今秋で第90回目の開催となり「私たちのくらしと文化」という統一テーマに基づき、各研究分野の教員が全6回の講義を行いました。

第90回目の最終回は心理学部の難波愛准教授による「子育て・孫育てを楽しむ!カウンセリングの知恵袋」を11月29日にポートアイランド第1キャンパスにて開催し、58人が受講しました。

難波准教授は、はじめに、子育て・孫育てにおいては、「子どもと大人の価値観」「大人同士の価値観」「親世代と祖父母世代」での子どもへの関わり方には「ズレ」があることを説明しました。また、よくある悩みとして「叱るべき時に叱れない」「ほめると甘やかしになりそう」といった声が多いと述べました。

まずは自分の養育スタイルを知ることが子育てのヒントになるとし、自身のスタイルを判断する養育態度チェックのを実施。応答性(子どもへの温かい応答)と要求制限(ルールや制約の設け方)の得点をそれぞれ計算し、「権威型」「許容型」「高圧型」「放置型」の4つに分類、親の養育態度を自己診断しました。参加者は自身のタイプを把握することで、子育てにおける強みや見直すべき点について、気づきを得ることができました。

また、子どもの健全な心の成長には「愛着(アタッチメント)」が不可欠で、抱っこやハグといった皮膚感触はもちろん、「なあに?」と子どもの言葉に耳を傾ける温かい応答も愛着形成に深く関わるとことを説明しました。

続いて、効果的な子育て方法として、特に2歳から7歳の子どもに効果的とされる「PCIT(親子相互交流療法)」の考え方を紹介しました。これは、遊びを通じた親子関係の治療法であり、家庭での養育にも参考にできます。子どもが「安心できる」「心が落ち着く」状態が作れるよう、1日5分でも、子どもに指示・質問をしない子ども主導の遊び時間を作ることが大切であり、その上で、親主導の3つ基本構造である、「直接的」「肯定的」「具体的」に注意しながら、しつけを行うとよいと解説しました。

最後に、PCITを用いた研究によると、親のストレス軽減、親子関係の質の向上、さらには虐待リスクの減少も期待できることが示されており、関係作りとしつけを明確に分けて実践することで、子育てはより楽になり、子どもたちは安心感の中で健やかに成長できると締めくくりました。

参加者らは「子ども主導の子育てを実践してみたいと思った」「孫に対しては、つい甘くなりがちだが、余裕を持って楽しみながら接したいと思えた」といった感想を寄せました。

今回の講義をもちまして、2025年秋季 第90回土曜公開講座が終了しました。次回は2026年春季 第91回土曜公開講座を有瀬キャンパスで実施予定です。