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神戸学院大学

薬学部

「救急」をテーマに第3回大学ー医療連携特別講義が実施されました

2022/09/15

「救急」の講師は浅香医師(右)と鎌田薬剤師
「救急」の講師は浅香医師(右)と鎌田薬剤師
「救急」のテーマの講義を聴く薬学部の学生たち
「救急」のテーマの講義を聴く薬学部の学生たち
ICUについての説明を聴く学生たち
ICUについての説明を聴く学生たち

神戸市立医療センター中央市民病院との包括連携協定に基づく薬学部の大学―医療連携特別講義の第3回が8月9日に開かれました。授業は橋田亨教授と杉岡信幸教授が担当し、「救急」をテーマに、同病院から救急科副医長の浅香葉子医師と鎌田里紗薬剤師を講師に招きました。

最初に橋田教授から、4月に発表された厚生労働省による全国救命救急センターの充実段階評価で同病院が8年連続1位になったことが紹介されました。重篤患者の診療機能など四つの機能、45項目を評価し、総合したものです。

浅香医師によると、救命救急の「とりで」とも言えるICUで扱う疾患は脳卒中、重症感染症、重症外傷など命に関わる病気や傷害です。「新型コロナウイルス感染拡大の第6波までで1500人が入院、現在の第7波に襲われてからは5~10人の新規患者を受け入れています」との報告がありました。

専門職ごとに役割があり、薬剤師は「元々使っていた内服薬の確認、内服薬の相互作用の確認、点滴薬剤の配合や濃度の確認、腎機能の変化の観察など」(浅香医師)です。

措置や治療に際しては、患者の意見が最優先ですが、「ICUの患者は(救急で運び込まれて)自分の意思を伝えられないことが多々あり、その場合は家族の代表者が本人の意思を代弁されていると判断して一緒に治療について考える」(浅香医師)姿勢を大事にしています。

状況が変わるとミスも生まれやすくなるのは事実ですが、「チームで対応することで自分が気づいていない視点が入り、ミスを防ぐことができます」と、浅香医師はここでもチーム医療の重視を強調しました。

学生からは「チーム医療では医師を頂点とするヒエラルキーがあるのではないですか」と質問が出ました。浅香医師は、「(誰かが頂点というのではなく)患者とご家族を中心に考えたいと思っています。患者自身が治療チームの中に入っているという認識ですが、お話のできる患者が限られているのも事実です」と、実情を交えて答えました。

「実務実習指導薬剤師」などの資格を持つ鎌田薬剤師は、救命救急センターでの薬剤師の役割について、主に入院部門では、第一に常用薬の確認を挙げました。常用薬とは、患者が普段服用しているすべての薬が含まれ、常用薬の確認手段としては、お薬手帳や、かかりつけ医師からの紹介状、本人や家族、関係者に直接聞くこともあるとのことでした。薬剤師による常用薬の確認のメリットとしては、医師とのダブルチェックができることを挙げました。

最後に、「患者は急な入院で検査が続き、混乱している人が多い。患者の話をじっくりと聞き、聞いたことは回診の時間などに集まって、他のスタッフと共有するようにしています。ICUでは状況の変化が激しく、情報共有は早くしなければなりません。現場にいないと、変化に気づくことができないので、何かあるなと思ったら病室のドアを開けて入っていきます」と話し、気の抜けない仕事の様子を伝えてもらいました。

また、鎌田薬剤師によると、2021年11月からはTDM(薬物血中濃度モニタリング)オーダーの代行入力も行えるようになり、薬剤師がさらに深く治療に関わっていることが分かりました。