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神戸学院大学

薬学部

薬学部が「第25回大学―医療連携講演会」で「健康最大化」のあり方を考えました

2022/12/20

佐々木特命教授の特別講演
佐々木特命教授の特別講演
薬物療法について話す佐々木特命教授(正面左)
薬物療法について話す佐々木特命教授(正面左)
渡辺チームリーダーの特別講演
渡辺チームリーダーの特別講演
渡辺チームリーダーの講演を聴く学生や教員
渡辺チームリーダーの講演を聴く学生や教員

薬学部の「第25回大学―医療連携講演会」が「大学と医療が連携して目指す一人ひとりの健康最大化に資する研究」をテーマに12月9日、ポートアイランド第1キャンパスで対面とオンラインでのハイブリッド方式で開催されました。

薬学部の医療連携実行委員会では、近隣の医療機関との教育・研究の連携を図る活動の一つとして、2013年から定期的に本講演会を開催してきました。今回は、「健康最大化」のあり方について、特別講演の講師2人を招き、議論を深めました。

■特別講演1「薬学深化と高度薬剤師連携による次世代ヘルスケア」
まず、元長崎大学病院薬剤部長で、ドラックデリバリーシステム(DDS)の基礎研究者として知られる長崎大学熱帯医学研究所の佐々木均特命教授(臨床開発学)からは、薬剤師の業務の高度化に伴い、専門薬剤師や博士号の取得が医療の安全や品質を確保する上で重要だとの指摘がありました。そのためには、臨床現場の薬剤師が臨床研究に取り組む必要性があり、具体例についての紹介もありました。医療現場の薬剤師と近隣大学や母校の薬学部との強い連携が必要であることを強調されました。

後半は、現在取り組んでいるワクチン開発の経緯と現況の詳細でした。基礎研究者として臨床現場に貢献するために、核酸医薬品や核酸ワクチンのDDSに関する研究の実施についての説明がありました。核酸は比較的分子サイズが大きく、DDS技術が核酸医薬品や核酸ワクチンには必須です。マラリアやがんに対する核酸ワクチンに加えて、新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンのDDS技術を駆使した開発についての紹介もありました。質疑応答では、参加者から臨床薬剤師が博士号取得を目指す場合の教育がどうあるべきかなどについて議論が交わされました。

■特別講演2「個別健康の最大化に向けて」
次に、大学院薬学研究科の連携教員でもあり、理化学研究所生命機能科学研究センター健康・病態科学研究チームの渡辺恭良チームリーダーの講演に移り、個別健康の最大化に向けた研究についての興味深い内容でした。

まず、PETプローブ(陽電子放射核種で標識された分子)を用いた分子イメージング研究について紹介がありました。PET分子イメージングは、超高感度で安全性が高く、多様な標的に対して、ヒト身体の深部までイメージングできるという特徴があります。このPET分子イメージングを用いた抗体医薬品などの体内動態、サイトカインの活性化、脳内の炎症のイメージングなどの研究成果について分かりやすい説明でした。後半では、「疲労」に関する研究について、疲れのメカニズムや健康度の科学的、定量的、客観的に評価指標、個別健康の最大化に向けての今後の展望について話していただきました。質疑応答では、参加者から疲労に関して疾患の予防や疲労のマーカーなどについて質問が出され、議論が交わされました。

■教職員や学生ら約70人の参加で議論も深まる
本講演会には、Zoomによる視聴を含めて約70人の本学教職員や学生の皆さん、薬剤師の方々に参加いただきました。