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神戸学院大学

薬学部

「循環器」をテーマに第2回大学ー医療連携特別講義が実施されました

2022/09/15

村井医師(右)と木下薬剤師(中央)を紹介する橋田教授
村井医師(右)と木下薬剤師(中央)を紹介する橋田教授
第2回の連携講座を熱心に受講する薬学部の学生たち
第2回の連携講座を熱心に受講する薬学部の学生たち
講師に質問する薬学部の学生
講師に質問する薬学部の学生

神戸市立医療センター中央市民病院との包括連携協定に基づく薬学部の大学―医療連携特別講義の第2回が8月8日に開かれました。授業は橋田亨教授と杉岡信幸教授が担当し、「循環器」をテーマに、同病院から循環器内科副医長の村井亮介医師と木下恵薬剤師を講師に招きました。

橋田教授から初めに、「薬剤師としてのライセンスを取得した先に何があるのか、最前線で働く医師と薬剤師の先生方から臨床薬剤師の仕事について学んでください」と、授業の狙いについての説明がありました。

村井医師によると、循環器内科で治療を担当するのは、血管と心臓の疾患。急性心筋梗塞(こうそく)患者では、二次予防と薬物療法が中心になるとの説明でした。「症状の現れた心不全は、薬物治療が中心で、併存症の治療が必要になることもある」との話に、簡単ではないことが理解できます。症状を緩和するために、利尿剤の投与などがあり、「手術の予後を改善する心不全治療薬の使い方も変わってきている」と、最近の動きの紹介もありました。

多くの患者を治療する心不全については急性と慢性があるものの、「時間的に連続した一連の疾患であり、途切れない治療が必要です」と、村井医師は強調しました。

最後に心不全患者を地域全体で治療・ケアするという考え方から、「神戸心不全ネットワーク」が組織化されて活動していることの紹介がありました。患者ごとの情報共有ツールとして「心不全手帳」を作り、薬の種類や投薬量などを書き込んで常に身に着けてもらっていることにも触れてもらいました。多職種介入の重要さを示すためには、心不全患者の運動風景の写真が紹介されました。

一方、薬剤師になって7年目の木下薬剤師は、本学薬学部を2016年に卒業しました。主に循環器病棟とICU(集中治療室)で働いています。「心不全チーム」の活動により、患者の再入院率、死亡率が低下していると成果を示しました。チームに薬剤師が入ることで、薬がきちんと飲まれるように目配りし、「アドヒアランス(注1)を向上させることができた」との報告もありました。

(注1)アドヒアランス:治療方針の決定に患者が積極的に参加し、その決定に沿って治療を受けること

また、木下薬剤師は、「循環器疾患はハイリスクな薬が多く、副作用のモニタリングは安全管理が必要です」との注意点に触れ、「心不全カンファレンス」での職種間の議論の事例も分かりやすく紹介してくれました。

最後に、①心不全患者に薬剤師が介入する意義は大きい②服薬アドヒアランスの向上には多職種によるチームアプローチが推奨されているが現場の感覚としては必須と言える③多職種が共通の知識を持ち、チーム医療を円滑に進めるため、「心不全療養指導士」の資格ができた④薬剤師ならではの目線で行っていることをチーム全体に共有することが大切――だとまとめました。

橋田教授は、「ICUがチーム医療で成り立っており、想像以上に薬剤師が活躍できる可能性が広がっていることを理解してもらえたと思います」と締めくくりました。