法学部の春日勉教授による体験型公開講座「『異議あり!』あなたが裁判の主役です」を開催しました
2025/12/08
「秋の体験型公開講座」の最終プログラムとして、法学部の春日勉教授が11月30日に「『異議あり!』あなたが裁判の主役です」と題した模擬裁判を、ポートアイランド第1キャンパスB号館1階の法廷教室で実施しました。
本学では大学の教育を社会に還元することや、地域の人々の生涯学習に積極的に関わることを目的に、知識や理論を身につける講義と実習や体験等を組み合わせた体験型の公開講座を企画し、開講しています。今回のプログラムは小学校5年生から高校生を対象にした模擬裁判の体験講座となっており、8人が参加。春日ゼミ3年次生の学生15人とともに、裁判官、検察官、弁護人、被告人、証人などの役割を演じ、模擬裁判を実施しました。
はじめに春日教授は、刑事裁判は「冒頭手続き」「証拠調べ手続き」「弁論手続き」の3つのパートで構成されると説明し、被告人には「黙秘権」があること、検察官に証明責任がありその証明に失敗すると「無罪」が言い渡されること、身体を拘束された被告人にとって弁護人の存在は重要であることなどを解説しました。
また今回の刑事裁判では、参加者の年代に合わせて、イソップ物語「アリとキリギリス」をもとに作成されたシナリオを披露しました。被告人(アリ)と被害者(キリギリス)は親友同士だったが、食料に困った被害者に対し被告人は「家族の分で精一杯」と食料を与えず、被害者は餓死。被告人の行為が、刑法第219条の保護責任者遺棄致死罪にあたるかが争われました。
参加者は学生が演じる模擬裁判を傍聴席から見学し、刑事裁判の一連の流れを確認した後、「裁判員」「検察官」「弁護人」の3つのチームに分かれ、それぞれ別室に移動し、被告人や証人に対する質問を考えるグループワークを行いました。学生らは一緒に質問内容を考えたり、事件の争点を説明しながら参加者と交流しました。各チームとも真剣に質問内容を考える様子が見られ、「被害者(キリギリス)には他に頼る人がいなかったのか」「被告人(アリ)は本当に家族分の食料しか蓄えがなかったのか」などの疑問点から、質問する内容をまとめました。
再び法廷教室に移動し、今度は参加者もそれぞれの役割を演じながら模擬裁判を実施。被告人や証人に、自分たちで考えた質問を投げかけながら、刑事裁判の一連の流れを体験しました。
最後に春日教授は「人の命が関わる刑事裁判において、質問する際の言葉選びは慎重に考えなければならない。グループワークではしっかりと時間を使って質問を考えていただき良い経験になったと思います」と参加者らを評価しました。
参加者からは「グループワークでは大学生のサポートがあり、積極的に意見を出せて良かった」「弁護士になれて楽しかった。初めて裁判を体験できて凄く勉強になった」などの感想が寄せられ、盛況のうちに講座が終了しました。





