人文学部の福島ゼミが「学生・西区連携まちづくり活動補助金」事業の活動成果報告会を実施しました
2026/02/02
人文学部福島あずさ准教授のゼミ生(2年次生17人、3年次生15人)が1月23日に有瀬キャンパスにて、「学生・西区連携まちづくり活動補助金」事業の活動成果報告会を開催しました。
本事業は、2007年5月に神戸市西区と締結した連携協力協定の一環として、地域課題解決や魅力向上をめざす学生活動を支援するものです。福島ゼミは、地元農家の鶴田農園(伊川谷オフラインサロン運営)の協力を得て、伊川谷地区の農業振興に取り組みました。
報告会には、鶴田農園の鶴田善久氏、花栽培農家の八木清豪氏、本事業の管轄である西区地域協働課の小西敏係長、岩城里穂氏、人文学部の矢嶋巌教授らが出席し、学生たちの発表に耳を傾けました。
2年次生
現地調査に基づき、伊川谷農業が抱える「ブランド知名度不足」「担い手減少」「認知度低下」といった課題に対し、A班~D班に分かれ多角的な解決策を提案しました。A班:伊川谷ブランドを確立させるためには
伊川谷の「都市近郊型農業」としての強みを生かし、ブランド知名度向上のための3つの提案を行いました。1つ目は、学校給食での伊川谷産野菜の「見える化」として、給食だよりでの産地明記やSNSでの情報発信、2つ目は「作る・知る・食べる」を体験できる農業体験ツアーの実施。3つ目は、傷みやすい軟弱野菜をジュースとして加工し、フードロス削減と話題性創出を両立させ、。都市近郊の利便性を生かし、安心・新鮮な農業として伊川谷ブランドを確立することを提案しました。
B班:農業から社会復帰・貢献~つながりを育む新たな取り組み~
就農者減少と不登校・引きこもり支援を連携させるプログラムを提案。神奈川県の「農スクール」や神戸市の「神戸っ子農業体験ルルルプログラム」を参考に、農業体験を通じた社会復帰支援を構想し、資金確保や人材育成の具体的な方策も提示しました。
C班:伊川谷地区の農業の課題に関する解決策
伊川谷の知名度向上を目指し、有瀬キャンパス内の「マザームーンカフェ」に花卉(かき)農家の花を導入するアイデアを発表。食用花を用いたオリジナルスイーツや、店内の季節の生花・紹介ミニカードの設置を通じて、「伊川谷=花のなる地域」というイメージを定着させ、SNSでの情報拡散による認知度向上を提案しました。
D班:農業の認知度低下と人手不足への対応
農業情報の分かりにくさや初期投資の高さ、新規参入の難しさという問題点に対し、農家間コミュニティを活性化する「就農者向けアプリ」の開発、補助金情報の「プラットフォーム化」、高額な初期投資リスクを軽減する「土地の分散所有制度(馬主制度を模倣)」の導入を提案し、持続可能な日本農業の実現を提言しました。
3年次生
伊川谷農業が抱える課題に対しより実践的なアプローチで農業課題の解決策を探りました。A班:炎天下の農作業から命を守る
学生へのアンケートと農家への聞き取り調査を通じ、冬の熱中症の認知度不足や一人作業時の危険性を指摘。学生と農家間のLINE安否確認、暑い日の農作業手伝い、消防署トレーニングを応用した暑熱順化運動(体が暑さに慣れる運動)を提案し、農業従事者の命を守る具体的な方策を模索しました。
B班:クールスポットの試作実験
農作業中の熱中症対策として、扇風機と氷(2Lペットボトル)を用いた簡易クールスポットの効果を検証。実験では氷4個使用時に明確な温度低下が確認され、安価で簡便な冷却法が活用できる可能性を示しました。
C班:自然農薬による害虫対策の効果調査
化学農薬に頼らない農業を目指し、トウモロコシへの自然農薬(ストチュウ、木酢液、タバスコ、コーヒー液)の散布実験を3週間に渡って検証。「ストチュウ」が最も高い害虫抑制効果を示した一方、反省点として、自然農薬の散布頻度の不足や、石灰木酢液の中和反応による効果減衰といった点を挙げました。
D班:農作物の収益性向上に向けた工夫(POPの活用)
直売所での販売促進策としてPOP広告の効果を検証。鶴田農園で採れたじゃがいもを販売し、POPの有無で効果を比較。結果、POPがある方が商品の視認性・購入率が向上することを確認。POPが購買促進に補助効果があることを示しました。
質疑応答・コメント
鶴田農園 鶴田善久氏神戸市が推進する「BE KOBE」ブランドとの連携の可能性や、農業が「借金スタート」であり飲食店経営並みの覚悟が必要であること、経済的価値だけでなく農業が持つ「社会的価値」の重要性について言及。学生との連携による社会貢献への期待が語られました。
花栽培農家 八木清豪氏
ご自身の60年以上にわたる農家経験から、「花の伊川谷」を築いた歴史や、個人ではなく「コミュニティ」で農業を行うことの重要性が語られました。「農業は子どもを育てるのと一緒。好きになって、感謝を持ってほしい」と学生たちに伝えました。
西区地域協働課 小西敏係長、岩城里穂氏
西区の農村地域で増加する「農村カフェ」のトレンドが紹介され、AIやITが進化する中で自然回帰へのニーズが高まっている現状に言及。マザームーンカフェでの花や野菜を活用した企画への期待が示されました。また、熱中症対策としての学生の協力提案に対し、今すぐにでも農家さんの課題解決につながる力であり、今後も農業に興味を持って継続的な協力をしてほしいとの期待が寄せられました。
福島准教授は、2年次生の「企画・提案」から3年次生の「実践・課題直面」へと続く学びの段階を総括。社会に出た際に直面する「実績を伝える難しさ」や「タスクを細分化して推進する難しさ」に触れ、今後の学生の成長に期待を表明しました。
最後に学生代表の同前大雅さん(3年次)が関係者へ、感謝の気持ちと農業活動を通じて得た貴重な経験が、自身の今後の糧となると述べ、報告会は盛況のうちに閉会しました。
