大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ「秋の鳴く虫の夕べー虫の音の聞き分け講座ー」を実施しました
2025/10/07
明石市大蔵八幡町の「明石ハウス」で9月24日、地域研究センターの主催する一般向け講演会「大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ2025」が実施されました。人文学部の川上靖教授が「秋の鳴く虫の夕べー虫の音の聞き分け講座ー」と題し、鳴く虫の聞き分け方を中心に、虫が鳴く理由や生態について講演しました。
バッタ類の分類と進化を研究してきた川上教授は、博士号を取った際に「バッタ研究で博士号」という見出しで新聞に載ったといいます。そこで、「バッタもんではありません(笑)」とおどける楽しい自己紹介に、会場は笑いに包まれました。
■バッタは触覚が短い!
コオロギやキリギリスとバッタの違いは「触覚が短い」ことや、コオロギやキリギリスが音を使ってコミュニケーションを取っていること、鳴くのはオスだけであることなどを説明する川上教授の話に、会場に集まった皆さんは熱心に耳を傾けていました。
■コオロギの耳の位置は?
「コオロギの耳はどこにあるでしょうか?」。川上教授の質問に、会場からは「触覚!」という声が上がりましたが、「惜しいな…!虫の気持ちになって考えてください」との返事に「う〜ん」と唸る参加者たち。答えは…「実は前足に耳があるんです」。意外な答えに会場がわきました。
そうしたやりとりを経て、聞き分ける虫たちの音を一通り聴きました。高さ(周波数)によって聞こえてくる虫の音が違うことや、スズムシをオスだけ飼うと闘いの音になることなど、音に着目することで見えてくる虫の世界が広がります。
いよいよ、スピーカーで虫が鳴く音が流され、何の虫の音かを当てる聞き分けクイズです。1問目は、“鳴く虫の女王”とも呼ばれているカンタンの声から始まりました。その後はさまざまな虫の鳴く音が続き、参加者も耳を澄ませました。
クイズも最終段階に入り、クツワムシの鳴き声あたりで、誰もどの虫の声か全くわからなくなったタイミングで、川上先生は「やればやるほどわけがわからなくなるんです…」とニヤリ。「確実なのは捕まえることです」との意外な結論(?)が導かれました。
最後は、「コオロギ四種をマスターしよう!」ということで、身近で聞けるコオロギの聞き分けができるようになる方法が伝授されました。
参加者の感想として、「一種の再会」の話が語られました。昔読んだ時代小説に、クサヒバリが鳴く音が出てきたというのです。「これやったんかー、小説では音出てきませんので、初めて聞いて感激しました、小説では河原での音でした」。その方は、この日が「一種の再会」だったと感動されたとのことでした。
終了後には、希望者が明石ハウス近くの穂蓼八幡神社(大蔵八幡)の境内で、実際に虫の音に聞き入りました。講演で紹介されたエンマコオロギとカネタタキの音も聞くことができました。
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地域研究センターでは、地域研究・社会貢献の一環として「大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ」を継続的に行っています。次回は11月19日(水)午後6時から、人文学部の曽我部愛准教授による講演「中世の巌島参詣と瀬戸内海交通―平氏一門の巌島信仰を中心に―」を実施する予定です。ふるってご参加ください(予約、事前申し込み不要)。