見学会&ワークショップ「朝霧川源流を訪ねて-朝霧川源流域の自然・歴史・暮らしを探求-」を開催しました
2025/06/12
有瀬キャンパスは、2級河川の朝霧川の上流に位置しています。北東側には源流域である漆山上地区があります。この川でつながる明石市の朝霧校区まちづくり協議会と本学地域研究センターが市民を対象として企画した源流域をたどるフィールドワーク・ワークショップが6月1日に開かれました。
■人文学部の教員が解説を担当、58人が参加
朝霧小学校区まちづくり協議会の西谷寛氏、人文学部の大西慎也教授、川上靖教授、矢嶋巌教授、曽我部愛准教授、中村健史准教授、福島あずさ准教授、三田牧准教授、白方佳果講師、鈴木遥講師が、解説役やワークショップのファシリテーターを務めました。人文学部生を含む参加者は教員・大学院生を除いて58人と、盛況でした。
有瀬キャンパスの11号館1階ホールで矢嶋教授と西谷氏が開会あいさつしました。矢嶋教授によると11号館付近が平らである理由は、かつて本学の陸上トラックがあったため。敷地内の西細谷の斜面の地層に含まれる礫層に関しても説明しました。続いて大西教授より、キャンパスが位置する台地と伊川や朝霧川が谷を刻んでいる地形についての説明を受けた後、敷地の北端に向かいました。
■花栽培農家の温室を見学
ここで、地元在住の花栽培農家で神戸市のアグリマイスターでもある八木清豪氏から、キャンパス北側が他の地域から運んできた土によって西細谷が埋め立てられて用地が造成されたとする説明を受け、水路や、西細谷の地名を持つ小公園を確認してから東細谷公園へと移動し、曽我部准教授よりキャンパスが位置する有瀬の漆山地区が江戸時代に新田開発が進んだ3期のうちの最初に当たることについて説明を受けました。
続いて、八木氏が花を栽培する温室を見学し、伊川谷の花栽培の歴史や神戸学院大学開学にともなうこの地区の暮らしの変化についての話を聞きました。その後有瀬キャンパスに戻り、鈴木講師から弓道場付近の植生についての説明を、川上教授からドングリによく見られるゾウムシについての説明を受けました。続いて、有瀬図書館がモダニズム建築家によって設計されたこと、第1グラウンドが西細谷の洪水調整池を兼ねていること、有瀬図書館新館下の新池が西細谷の雨水を受け止めていることについて、矢嶋教授からそれぞれの場所で説明がありました。
■明石藩主の遺徳しのぶ碑の説明も
後半のワークショップは、教室で8班に分かれて行われました。まず福島准教授から朝霧川で発生した四つの水害と気象条件についての説明を受けた後、中村准教授から漆山の新田開発を命じた第6代明石藩主の松平日向守信之とその遺徳を偲(しの)んだ漆山の農民たちによって建てられた記念碑についての説明を受けました。続いて、西谷氏より朝霧川中流で毎月第4日曜日に取り組んでいる生き物観察会の活動についての紹介があり、八木氏からは明石市と神戸市の境界付近に位置する有瀬キャンパス東方の道路整備に関する逸話などが紹介されました。
この後、参加者がそれぞれ感想を模造紙に書き、班ごとに共有しました。このうち、人文学部・地域研究センターが連携している明石市立松が丘小学校の教諭が参加した班では地域理解のために役立ったと報告されました。
■地域連携の取り組みに好意的な感想
最後に、中村准教授の司会により、今回の行事を終えて、地域研究センターや本学の今後の地域連携の取り組みに期待することを班ごとに話し合い、各班から代表者が意見を述べました。「いろいろな分野の大学教員から話を聞けた点がよかった」「今回自ら体験し互いに話し合って学びあった点がよかった」「よくわからない源流の場所を明らかにして次こそ訪ねる企画をして欲しい」「拡声器を使用して説明が聞こえるようにして欲しい」といった意見がありました。
ワークショップ会場の黒板には、大西教授が制作した有瀬キャンパス付近の地形モデルが黒板に展示され、松平日向守信之の命で築造された伊川谷堀割の位置が示されていたこともあって、多くの参加者が写真に収めていました。
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また、フィールドワーク・ワークショップの後には、地域連携活動に対する「地域の声」を把握するための意見交換も行われました。50人を超える方々が参加し、さまざまな視点から、大学の行う地域連携活動について積極的に話し合いを行いました。地域研究センターは「『地域の声』に接することは、単にイベントのフィードバックとしてだけでなく、地域の方々とのきずなや交流を深めるという意味でもきわめて有意義であると考えています」と話しています。
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