経営学部の相島教授らの団体が『モンゴル抑留』の出版記念講演会を開催しました
2026/08/04
経営学部の相島淑美教授が代表理事を務める一般社団法人「未来を創る新教育推進会」(推進会)が元読売新聞編集委員でジャーナリストの井手裕彦氏の新著『モンゴル抑留』(角川新書)の出版記念講演会を8月1日、大阪市中央区の難波御堂筋ホールで開催しました。各新聞社が後援し、参加者は150人を超えました。
冒頭で、相島教授より、「私たちの組織は、広く次のステージをめざす人たちに、学びの場を提供することで、社会で活躍する一歩を応援したいという思いでスタートしました。そのプロセスにおいて大切にしているのは『自分だけでなく周囲、社会、世界に目を向ける』『今だけでなく歴史に心を寄せる』『一見みえないこと、(隠されていて)見えにくいものを知ろうとする』ことです。本日の講演は、モンゴル抑留という事実そのものについて知る貴重な機会であるとともに、『知る』とはどういうことかを考える手がかりになると思います。それは私たちが生きていくうえで必要な力になるのではないでしょうか」と、あいさつがありました。
その後、井手氏が、本年6月に出版した『モンゴル抑留』について話しました。第2次世界大戦後、日本人が抑留されたのはソビエト連邦(当時)だけではなく、モンゴルにも1万4000人が連行されました。モンゴルの収容所の多くは劣悪な環境にあり、1700人もの日本人が命を落としました。
抑留者は軍人に加え、満鉄関係者、郵便局関係者などの民間人もいました。この抑留の実態について、井手氏は独自の調査により、モンゴルと日本に保存された膨大な資料を発掘して分析し、遺族たちに取材することで、忘れ去られてきた「死」の真相の多くを解明しました。両国政府とも、モンゴル抑留者の存在をなかなか認めようとしなかったといいます。「私が収集している死亡記録は、人生の生きざまが見える記録であり、冷たい国家と違って、私は一人たりとも見捨てることはないとの想(おも)いで、『死亡記録配達人』として、今後もこの活動を続けていきたい」と締めくくりました。
関連して、実父がシベリア抑留を経験した勝瀬典雄氏(推進会理事)が、米国でシベリア抑留者に関する資料を管理している、米国国立公文書館のワシントン分館であるNational Archives and Records Administration IIを訪問し、実父の情報を照会した結果、かなりのことが分かった経験を紹介しました。「日本でも、厚生労働省の援護局に対しては、遺族の関係者であれば誰でも照会できるので、積極的に利用して欲しい」と語りました。
また、外務委員会、安全保障特別委員会に長く席を置き、厚生労働副大臣を務めた元衆議院議員の赤松正雄氏(推進会理事)は「厚労省、外務省など日本政府がいかに無為無策であったかを認め、外交関係における歴史や教科書の見直しという井手さんの問題提起に賛同します。実際に、厚生労働省官房長、日本モンゴル友好議員連盟の長島昭久会長に意見を求め、今後更に尽力する旨の意向を頂きました」と述べました。さらに推進会の事業目的に関連し、「個人においても日本全体においても、過去の誤りや失敗をきちっと受け止め、とらえ直して、新たな方向へと個も全体も目指しゆく、つまり全体では歴史の学び直し、個人ではリカレント教育という、教育のありようを再構築していく」ことの重要性に触れながら、井手氏の著作、講演の意義を語りました。
講演会に参加した経営学部3年次生の安田賢さんは「井手氏の書籍や講演によって、民間人も抑留し、驚異的な死傷率に至るなど、悲惨でも直視するべきモンゴル抑留の歴史を学びました」との感想を寄せています。



