経営学部の石賀教授が担当する授業で地元企業「イーエスプランニング」取締役の特別講義がありました
2026/11/04
経営学部の石賀和義教授が担当する「企業ファイナンス論Ⅱ」の授業で10月8日、駐車場管理などを業務とする不動産会社「イーエスプランニング」(神戸市中央区東川崎町)取締役の藤岡翔義さんが「地域の富を地域で回す仕組みづくり」と題して特別講義しました。
講義に先立ち、みなと銀行地域戦略部マネージャーの伊藤和生さんが地域の企業の採用活動と学生の就職を支援する取り組みとして、情報サイト「みなと採用応援ポータル」および企業担当者と直接交流ができるフリースペース「Mカフェ」を神戸市西区と西宮市で運営していることを紹介しました。
「イーエスプランニング」は石賀ゼミが産学連携プロジェクトを実施している株式会社みなと銀行の取引先です。当初は設計建築事務所だったのが、阪神・淡路大震災の復興需要が落ち着いたころに土地の有効活用を促すために駐車場管理に業態を変換したといいます。藤岡さんは総合商社に就職した後に同社に移って15年目であり、兵庫県中小企業家同友会の理事も務めています。
藤岡さんは、会社の事業は目的が大事であり、当社も経営理念を「お客様と感動を共有し、地域・社会に必要な会社になる」としている。そして、「利益を出すことと地域に役立つことは両立できる」と述べました。そのうえで、「あたりまえの常識を疑い、生み出した富が地域に残る仕組みに変える」ことが業界の変化につながるとの信念を示しました。仕事においては「やりたいことよりできることを増やしていくことが自分を育てることだ」と学生へのメッセージを贈りました。
イーエスプランニングで生み出されたサービスの一つが時間貸し駐車場に最大料金(24時間最大1,200円、8:00~20:00まで最大1,000円等)を設けることでした。今日では当たり前の料金体系ですが、当時は同業他社からは「安売りだ」と批判されたといいます。どこまでも上がっていく駐車料金になぜ蓋をしてしまうのか理解不能だったようです。神戸市中央区三宮地区などで管理を任されている駐車場で最大料金を導入したところ、逆に客単価は上昇し、利用者も増えて所有者にも自社にも利益をもたらしたといいます。管理駐車場で利用時間と料金のデータを分析して導き出した結論でした。
その理由を藤岡さんはこう説明しました。利用者は、駐車料金がどこまでも上がると、長時間滞在することが分かっていれば最初から車を使わずに電車などで来ます。最大料金の導入によって、それまで電車などで来ていた利用者が車で来るようになり、駐車場利用者が増えました。今ではどこの駐車場でも当たり前に料金の上限を設けているといい、「今の常識は過去の非常識です」と述べました。
駐車場の売上が土地の所有者ではなく、首都圏の管理会社に流れてしまうことも藤岡さんにとっては納得のいかないことでした。駐車場のオーナーには土地を貸すだけでなく、直営で事業利益も得ることを提案。地域の業者が運営管理を受託するようにして地域外に収入が流出しないようにしたいという考え方からです。
また、駐車場を目的地ではない「地域の店と利用者をつなぐ入口に変える」との狙いから駐車場が地域の優良店を紹介し、買い物・食事をすると店の負担で駐車料金が割引き、または無料となる「パーキングモール構想」を着想して、関係先に理解を求めて活動していることも紹介しました。
最後に本学卒業生で、同社で働く社員2人からのあいさつがありました。
人文学部出身で入社6年目の高嶋理子さんは「新卒中途採用と広報を担当しています。学生時代は観光振興と地域貢献に漠然と関心がありました。私は入社してから自分のやりたいことを見つけました」と述べました。
経営学部出身で学生時代は硬式野球部に所属し、入社7年目の今福貴大さんは「有人駐車場運営チームリーダーをしています。労務管理、収益改善、設備管理など、この会社は1年目からいろいろな仕事を経験させてくれます」と語りました。
学生からは「パーキングモール構想に共感しました」「上限価格の導入で客単価が上がったと聞いて驚きました」「感動したことは他の人と共有したくなる点が腑に落ちました」「経営理念を聞いて『会社とは何のためにあるのか』を改めて考えさせられました」「できることを増やしていけば、おのずとやりたいことがみつかるという言葉は救いになりました」という感想が寄せられました。
