神戸学院大学

経営学部

経営学部の石賀教授の授業で日本政策金融公庫国民生活事業神戸創業支援センターの関谷所長が特別講義しました

2025/12/23

特別講義する関谷所長
特別講義する関谷所長
ワークショップで学生とやりとりする関谷所長
ワークショップで学生とやりとりする関谷所長
日本政策金融公庫の組織について説明する関谷所長
日本政策金融公庫の組織について説明する関谷所長

経営学部の石賀和義教授が担当する「企業ファイナンス論Ⅱ」の授業で12月18日、日本政策金融公庫(JFC)国民生活事業神戸創業支援センターの関谷善行所長が特別講義しました。

演題は「日本政策金融公庫の概要と創業支援業務」。政府系金融機関JFCの業務には小規模事業者、創業企業への支援を行う国民生活事業のほか、農林水産業への支援事業、中小企業を支援する事業があり、3本柱になっているといいます。JFCが向き合うテーマの一つには自然災害や経済危機などに対応するセーフティーネットとしての役割もあり、コロナ禍で打撃を受けた事業者に最初に実施された「実質無利子、無担保のゼロゼロ融資」はJFCだったという説明もありました。事業資金の融資先は小口の無担保融資が多く、115万先にのぼっています。

■創業動機、自己資金の蓄積は?
関谷さんの担当するのは国民生活事業。創業・スタートアップ・新事業支援のほか、事業承継支援、ソーシャルビジネス支援にあたっています。創業に必要なこととして、「創業動機があり、自己資金の蓄積があるか」がまず問われます。さらに「過去の勤務時の経験や人脈が生かせるか」が次のポイント。最後に「事業計画書」を用意し、「ビジネスが成立するニーズがあるか」を書き込む必要があります。この3点をクリアしてようやく、やりたいことの実現につながると図で示してもらいました。

創業を支援するために主催している「高校生ビジネスプラン・グランプリ」の説明によると、目的は「アントレプレナーシップ教育の一環として実施し、創業のすそ野を広げることです」と述べました。事業承継の支援では承継を望む人たちを無料でマッチングするサービスなどを実施しており、「承継する人が見つからず、もったいない廃業を減らすため」に推進していると補足しました。

■売れ残ったパンをビジネスに
学生にとっては分かりやすい「自分の身近にある課題」を深掘りして起業につなげた事例として、神戸の大学生が有名なパン店で売れ残ったパンを組み合わせて「パンの宝箱」と命名してセット販売する事業を立ち上げたケースを紹介してもらいました。神戸にはパンの「名店」や「老舗店」が多数あり、売れ残ってもブランドイメージを壊さないように安売りはできないためロスにつながっている事情を学生はアルバイトを通じて知っていたことが起業につながりました。

この後、学生が個々に「自分の身近にある課題」を書き、やりたいこと、できること、求められていること書き出してみる簡単なワークショップの時間を設けてもらいました。

■1人ではなく仲間を増やそう
最後に質疑応答があり、学生からは「学生時代の自由な4年間をこういうふうに使えば良いということがありますか」と質問しました。関谷所長は「やりたいことが決まっている人はそれを突き進めてください。1人で考えずに同じことを考えている仲間を作りましょう。若者の起業コミュニティーに参加するのもいいです。やりたいことがない人はやりたいことを見つけてください。講演会に行ったり、留学したり、非日常的なことに触れることです」と答えました。

別の学生からは、「社会貢献事業ではなくても個人事業者としてお金を借りることができますか」との質問が出ました。関谷所長は「事業の計画書を作り、提出してもらえば社会貢献が目的でなくても融資できます」と答えました。

■講義に対する学生の感想
講義を受けた学生からは「実績や信用力が乏しい創業期に融資を行う点は非常に印象的でした」「事業承継マッチング支援は、廃業を防ぐだけでなく、新たな事業を生みだす点がとても魅力的でした」「食品ロスは、仕方がない問題ではなく、行動で減らせる問題だと感じました」「ワークショップに取り組むことで、認識していなかった課題や求められていることを具体的に知ることができました」などの感想が寄せられました。