神戸学院大学

経営学部

日本繊維機械学会「企業心理と消費者心理研究会」公開講座が本学で開かれました

2022/12/02

学生とやりとりする平松客員教授
学生とやりとりする平松客員教授
平松客員教授の話を聴く学生ら
平松客員教授の話を聴く学生ら
大学院経済学研究科博士後期課程の王吉吉さんによる事例研究の発表
大学院経済学研究科博士後期課程の王吉吉さんによる事例研究の発表

経営学部の辻幸恵教授が委員長を務める日本繊維機械学会「企業心理と消費者心理研究会」が主催した第20回公開講座が11月30日、ポートアイランド第1キャンパスで開かれました。学生に学会の雰囲気や議論の仕方を伝えるのが目的で、多数の学部生が参加しました。

「化粧にみる日本文化」などの著書があり、化粧心理学や化粧文化論が専門の平松隆円グエンチャイ大学客員教授が「現代に通じる江戸時代の化粧品マーケティング」の演題で講演しました。商品を売るためのマーケティングやブランディングの手法は日本では江戸時代から早くも使われていたことが当時の資料で紹介され、出席した学生にとっては驚きの連続でした。

江戸後期の滑稽本、洒落本の作者で、「浮世風呂」などの作品で有名な式亭三馬(1776~1822年)が生活費を稼ぐために日本橋で始めた薬などを扱う商店で面白い商売をしていたといいます。ヘチマが吸い上げただけの水を特注で作らせたガラス製のきれいなボトルに入れ、「江戸の水」と命名して販売、「賑式亭福ばなし」と題した冊子を商品の付録にしていた史実は、まさに「こっけい」です。

■江戸時代にマーケティングの事例があった
「ほとんどコストのかからない水に価値を付けて売る。ビジネスやマーケティングに必要な三要素、物語性、注目されること、センス、そのすべてがそろっている。マーケティングやブランディングの手法は既にこの時期からありました」と平松客員教授は述べました。おしろいや歯磨き粉の販売もしゃれた商品名を付けたり、キャッチコピーを有効に使ったりして江戸期から独創的な売り方があったことの紹介もありました。「相手の立場になって物事を考えられるかどうか。この商品を買いつけたら、この人が買ってくれると見通すことが大切」とのビジネスの基本についての有用なアドバイスも説得力がありました。

続いて、本学の大学院経済学研究科博士後期課程に在籍する王吉吉さんが「ギフト・マーケティング―贈答の心理―」のテーマで事例研究の発表をしました。日本の中元、中国の中秋節に贈るギフトをめぐってアンケート調査もして日中比較研究をした結果を報告。中国ではECサイト(オンライン販売)とライブ配信を組み合わせ、消費者が販売側に質問しながら買い物をするライブコマースが最近、勢力を拡大し、ギフトの贈答にもよく」使われるとの報告もありました。

この後、再び平松客員教授と学生との質疑応答がありました。「太陽光パネルを販売することになったら皆さんはどうやって売りますか」などと問題を投げかけられ、学生たちは即答するのが難しそうでした。平松さんからは「無料でソーラーパネルを配り、その代わりに安い価格で電気を売ってもらい徐々に収益を得ていく」という成功例の紹介がありました。

最後に研究会の原田隆司顧問からのあいさつで締めくくりました。