神戸学院大学

経営学部

経営学部の授業で神戸市文化スポーツ局の檀特局長が特別講義しました

2025/12/17

檀特局長(前方左)を紹介する柳准教授
檀特局長(前方左)を紹介する柳准教授
講義する檀特局長
講義する檀特局長
同僚の職員を紹介する檀特局長
同僚の職員を紹介する檀特局長
檀特局長に記念品を渡す学生
檀特局長に記念品を渡す学生

経営学部で12月9日、神戸市文化スポーツ局の檀特竜王局長(スポーツ担当)による特別講義がありました。演題は「神戸スポーツの集客力アップと世界パラ陸上の知見の承継」。柳久恒准教授が担当する「スポーツ・ツーリズム論Ⅱ」の授業を受講する3、4年次生など約30人が受講しました。

檀特局長は、まず、神戸のトップスポーツチーム11チームが、JR三ノ宮駅の新駅ビル建設工事現場の壁面で紹介されている写真をスライドで紹介しました。

そのうえで、身近にトップスポーツチームがある意義と効果について、市民がスポーツを観戦、体験、支援する機会が増えることや、「アウェイ」から訪れる人たちの観戦による交流人口、宿泊や飲食などの経済効果、メディアにより神戸(KOBE)の魅力が発信される機会がいずれも増加することを挙げました。

トップスポーツチームの活躍を都市の魅力アップにつなげるために、チームの優勝時や海外からの有名チームが神戸に来た際に、チームカラーで神戸ポートタワーなどの観光施設や「BE KOBEモニュメント」などをライトアップし、お祝いや歓迎の機運を盛り上げていることを紹介しました。

受講生にとって関心の高い「集客アップの事例紹介」としては、コベルコ神戸スティーラーズ(ラグビー)、ヴィッセル神戸(サッカー)、INAC神戸レオネッサ(女子サッカー)、神戸ストークス(バスケットボール)の各チームや、最近開催された神戸マラソン2025、KOBE2024世界パラ陸上競技選手権大会について説明しました。

■シティドレッシングなどで集客アップ
以下事例紹介が続きました。
≪チーム誕生後の初練習を予定していた1995年1月17日に「阪神・淡路大震災」が発生したこともあり、J1リーグ優勝時(2024年J1連覇、天皇杯優勝)に、地域ぐるみで、優勝を祝う会や新シーズンに向けた壮行会を開催したのがヴィッセル神戸です。現在、神戸市営地下鉄海岸線の御崎公園駅の構内をヴィッセル神戸のチームカラーのクリムゾンレッドに装飾し、壁面にチームの歴史を紹介するなど「シティドレッシング」と呼ばれる街の装飾も行っています。ヴィッセル神戸では、試合や座席の需要に応じてチケット価格が変動する「ダイナミックプライシング」が導入されています≫

≪コベルコ神戸スティーラーズは、神戸マラソン2025でブースを出してチームの活躍をPRしました。子ども向けのラグビー体験イベントなども実施しています。(12月13日に始まった)リーグワンでは、「2025-26開幕戦ノエスタ満員プロジェクト」で、スタジアムを赤一色に染める演出をされます≫

≪神戸ストークスは、2023―2024シーズンに、Bプレミア参入の集客条件を満たすため「9万人来場プロジェクト」を実施しました。ワールド記念ホール2階席無料招待など懸命な集客が功を奏し、最終試合で9万人を突破、2024年10月にBプレミアライセンスの交付決定の際には、神戸ストークスのチームカラーの緑色に街をライトアップして、お祝いムードを盛り上げました≫

こうしたスポーツチームの集客の増加は、神戸市の施策と連動しています。2025年4月の「ジーライオンアリーナ神戸」開業により、2026年1月にバレーボールのオールスター戦、2028年にBリーグのオールスター戦が予定されるなど、新アリーナがオープンしたことで、ウォーターフロントへの人の流れができ、街の回遊性が高まり、今後も交流人口(入場者や旅行者)の増加が期待できるとの説明でした。

神戸マラソン2025についての報告もありました。今年から、明石海峡大橋や神戸のウォーターフロントの眺望を楽しめるフラットなコースに変わり、67歳の女性を含めてサブスリー(3時間以内のタイムで完走)のランナーが増加したほか、神戸観光局と連携したアジア向けプロモーションや、海外のインフルエンサーも活用して、海外ランナーの誘致に力を入れた結果、海外からのランナーのエントリーや出走が飛躍的に増えたことをデータで示してもらいました(2025年の海外のエントリー:2508人)。

■世界パラ陸上の知識・経験を継承
また、昨年5月、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で開催された「KOBE2024世界パラ陸上競技選手権大会」の知識・経験の承継についても、神戸市や関係者の考え方を示しました。世界パラ陸上を経験した職員や関係者に聞き取りを行い、情報を整理し、文書化、研修等も行い、2027年5月に関西各地を会場に開かれる世界最大級の国際スポーツ大会「ワールドマスターズゲームズ2027関西」でも実践、その後も好循環のサイクルを回していきたいとの考えです。

世界パラ陸上の入場料は、近年、パラスポーツの「観戦するスポーツ」としての価値を高めるため、世界的に有料化の動きがあることを踏まえ、原則有料としたために集客にも工夫が必要だったようです。
学校のクラス単位で参加してもらい、企業や個人に1口5万円の寄附を募り、児童や生徒の入場費用を寄付してもらう「ONEクラス応援制度」も成果に貢献し、9日間で8万4004人の集客があり、最終日の表彰式の壇上で、大勢の観衆が集まっているのを見て、世界パラ陸上競技連盟(WPA)の会長が「Very nice!」とつぶやくのを横で聞いた時に、大きな喜びを感じたといいます。反省点としては、「パリ大会の売上を参考に、多めに準備していたのですが、オフィシャルグッズが早々に売り切れてしまったことです。日本の人たちのお土産好きについての認識が足りませんでした」と話しました。

■学生からもアイデアが続々
講義の最後に檀特局長は学生らに、女子サッカーの集客の増加やパラスポーツの認知度を高めることが課題です。若い皆さんに、①INAC神戸レオネッサの集客アップの良いアイデア、②パラスポーツの認知度をさらに高める良いアイデアをそれぞれ考えてもらえませんかと提案しました。

学生たちは、グループワークを行い、学生からは、①については、「女子スポーツは派手さに欠けるので男子チームとコラボして一緒にPRや交流活動をすれば良いのでは」「企業の人たちを大勢招待して、まずは良さを知ってもらうのがよい」「男子サッカーファンに、女子サッカーにも興味を持ってもらう」などの案が出ました。②については「学校で児童や生徒にパラスポーツを体験してもらい、面白さを知ってもらう」「VRを使い、障害者の気持ちを体感するとよい」などの案が出ました。

締めくくりに、檀特局長と一緒に参加した同僚の職員3人が、檀上でそれぞれの業務について説明しました。パラスポーツについては、「皆さんからも提案いただきましたが、私たちはまさに小中学校でパラスポーツの体験授業を何度も実施しており、すごく喜んでもらっています」などと話してもらいました。

最後に学生が檀特局長に記念品をお渡しし、感謝の意を示しました。