経営学部の辻ゼミで兵庫県の動物愛護行政の現状についての講義を聞きました
2023/05/26
経営学部の辻幸恵教授の3年次生ゼミが5月24日、兵庫県動物愛護センター(尼崎市)事業課長の荻野暢子さんを講師に招き、動物愛護行政の現状や、県民によるペット飼育の問題点などについての話を聞きました。
同センターは1998年4月、兵庫県の「動物の愛護及び管理に関する条例」第1条の目的を達成するための基幹施設として全国に先駆けて開所し、同条例のほか、狂犬病予防法、動物の愛護及び管理に関する法律に基づき業務にあたっています。本部と支所計5カ所が設置されています。
まず、かつて日本でも猛威をふるい、今でも一部の先進国を除いて広がっている狂犬病について、「発症すると必ず死ぬ」「すべての哺乳類に感染する」との説明に全員が驚きました。狂犬病予防法では愛犬の登録・予防注射の接種及び放浪犬の捕獲収容などが規定され、1950年の施行から7年で日本では国内の発生がゼロとなったといいます。しかし、日本と同様の狂犬病清浄国であった台湾で、数年前に狂犬病が発生し大きな問題となったことから、日本でも油断できないことが分かり、改めて犬の登録と狂犬病予防注射接種の重要さを確認しました。
同センターの動物管理・愛護業務としては、飼い主の分からない犬の収容▽所有者不明の犬、猫の引き取り▽ペットの正しい飼い方の普及▽犬のしつけ方教室の開催▽犬・猫の譲渡▽負傷した動物の保護▽動物愛護フェアの開催――など多岐にわたることが紹介されました。
同センターに持ち込まれた犬や猫のうち、元の飼い主に返還されたり、新しい飼い主に譲渡されたりしたケースは幸いですが、残念ながら殺処分になることもあります。もっとも、犬の殺処分は最近激減しており、荻野さんは「犬を放し飼いにする人が減り、家族の一員として大事に飼わなければならないという飼い方(時代背景)の変化があるのではないか」と指摘しました。
同センターに犬や猫が持ち込まれる理由として、飼えなくなって持ち込まれることや所有者不明の犬猫の引き取りなどがあります。ペットを手放す理由として多いのは、飼い主の引っ越し、飼い主の病気や入院・死亡、高齢化などがあるそうです。
また猫は、同センターに持ち込まれる頭数が犬と比較して多く、その理由としては、特に飼い主が不明な子猫の引き取りが多いことも報告され、飼い猫の外飼いや無責任なえさやりなどに起因する猫の繁殖がその要因になっている、ということでした。
ゼミでは約1カ月後の6月28日に再び後半の講義を聞き、パネル展示などで動物愛護の啓発活動をする予定です。