法学部の上脇教授が大阪ボランティア協会の総会で講演しました
2025/07/04
社会福祉法人大阪ボランティア協会の定期総会が6月28日、大阪市中央区谷町の市民活動スクエア「CANVAS谷町」で開かれ、法学部の上脇博之教授が記念講演しました。
大阪ボランティア協会は、延べ150人のボランティアスタッフと約10人の職員が、ボランティア(グループ)やNPO、企業の市民活動などを支援している市民活動サポートセンターです。
演題は「公権力の暴走を止めるために~わたしたち市民ができること~」。しんぶん赤旗日曜版が2022年11月にスクープして発覚した自民党派閥の政治資金規正法違反(不記載や虚偽記載)事件が朝日新聞の23年12月のスクープによって、公にしない政治の裏金を作るための手法だったとみられることが暴かれていく経緯を上脇教授は順を追って紹介しました。
政治資金と裏金をめぐる事件は、東京地検特捜部が自民党派閥の関係先を家宅捜索し、強制捜査に入ることでメディアに一斉に報道されました。報道内容を精査し、上脇教授は1件ずつ告発を続けていくことになりました。講演会で告発の一覧表の資料が示されると、参加者らは改めて事件の広がりと問題の大きさを実感しました。
上脇教授はさらに、政治資金パーティーのチケット(パー券)をノルマ以上に販売した分をキックバック(還流)として受け取ったのに報告(記載)していなかったとして東京地検が24年1月、衆院・参院議員3人と議員秘書らを在宅起訴、または略式起訴して報道合戦がさらに過熱し、市民の注目度も変わったことを解説。世論の批判を受けて自民党も所属の各議員にアンケート調査し、2018年~22年分の不記載は85人(立件された3人は含まず)にのぼったことを紹介しました。
ところで、なぜ政治家は裏金がほしいのか。上脇教授は、選挙に勝つために公職選挙法で禁止されている選挙区の有権者に寄付を行うための資金が必要だという点に加え、自民党総裁選の場合は公職選挙と違って票の獲得のため買収的行為も違法ではない点を理由に挙げました。
政治の世界で裏金が作られないようにするために、上脇教授は①政治資金パーティーの禁止(少なくとも企業・団体の政治資金パーティー券購入禁止)②政党による「公職の候補者」への寄付および使途や使用金額を問わずに前渡しし、後日の精算も行わない「渡し切り」の禁止③会計検査院もチェックができない内閣官房報償費(機密費)は機密度に応じて将来の使途報告を義務付ける――の3点を挙げました。②については2026年から廃止が決まっています。①と③は見送られており、上脇教授は「裏金作りは今後もまだ続くのではないでしょうか」と述べました。こうした改革が実現しない背景として、民意を正しく反映しない選挙制度など議会制民主主義が真の意味で実現していないことを指摘しました。
最後に「公権力の暴走を止めるために国民1人1人ができること」として上脇教授は、地元の政治家や気になる政治家の政治団体の政治資金収支報告書を総務省のホームページや都道府県選挙管理委員会のホームページでチェックしてみてほしい」と呼びかけました。