薬学研究科の水谷特命教授らの研究プロジェクトが、兵庫県「成長産業育成のための研究開発支援事業(応用ステージ研究)」に新規採択されました
2025/08/05
兵庫県「成長産業育成のための研究開発支援事業」の2025年度新規採択研究事業が8月4日に発表され、大学院薬学研究科の水谷健一特命教授らが提案した『骨格筋オルガノイド(注1)を用いた「NAD+(注2)ナノ粒子」筋肉老化改善サプリメントの開発』が応用ステージ研究として採択されました。
近年、加齢とともに適切な筋量・筋力を維持できなくなるサルコペニア(注3)や身体的フレイルが、社会的な問題となっています。共同研究チームでは、筋肉の幹細胞を適切な細胞外環境下で増殖・分化して作成した「骨格筋オルガノイド(3次元培養技術)」を活用し、アニマルフリー(注4)で老化・病態を模倣したモデル実験系を確立すると共に、筋肉老化を改善する栄養素・薬剤の有用性やドラッグデリバリーを模索することで、機能性食品・化粧品・医薬品の開発を目指しています。今回採択された課題には、プロジェクトリーダーである本学薬学研究科の水谷健一特命教授に加えて、本学栄養学部(田村行識 講師)、大阪工業大学 工学部(中村友浩 教授)、オーチャード・バイオ株式会社(植松哲生 研究開発部長兼代表取締役)が参画し、共同研究が展開されます。
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【用語解説】
(注1) オルガノイド:試験管内で幹細胞から作る3次元組織様構造体。
(注2) NAD+:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生に欠かせない補酵素であり、長寿遺伝子サーチュインを活性化させることから、加齢に伴うNAD+量 の低下が加齢性疾患の発症・進展に深く関与すると考えられている。
(注3) サルコペニア:加齢によって筋肉(骨格筋:体を動かす筋肉)の量が減少して筋力が低下した状態を表し、65歳以上高齢者の15%程度が該当することから、社会問題となっている。
(注4) アニマルフリー:近年、生きた動物を使わなくても実験の目的を達成する研究手法の開発が求められており、生体環境を模倣したオルガノイド培養技術の確立が期待されている。