神戸学院大学

社会連携

土曜公開講座「自文化を客観視してみるーミクロネシア島嶼地域との比較からー」を開催しました

2022/11/25

文化人類学について講義する三田准教授
文化人類学について講義する三田准教授
黒板を使っての講義
黒板を使っての講義
母系出自集団について
母系出自集団について

11月19日にポートアイランド第1キャンパスで、人文学部の三田牧准教授による土曜公開講座「自文化を客観視してみるーミクロネシア島嶼地域との比較からー」を開催し、約80人が参加しました。

講義冒頭、「生まれたばかりの赤ちゃんは文化を持っていないが、生まれた瞬間から文化の中で育ち、何を食べ何を食べないのか、何が正しいのかなどすべてが文化である」と説明しました。

世界のさまざまな人々の生き様(文化)ついて学ぶ中で、自分たちの世界の観方が、多様な世界の観方の一つに過ぎないことに気付くことが、文化人類学だと定義しました。

また、「文化の色眼鏡」という表現を用いて「私はこんな色眼鏡をしているから、世界がこんな風に見えていたんですね」という気付きを与え、異文化を学び理解しようとする試みが、フィールドワークであると説明しました。

フィールドワークで訪れたパラオでの自らの体験では、偶然に出会った村の首長のお陰で、村の人々の世話になりながら、パラオの生活に溶け込んだ数々の逸話を紹介しました。

その後、パラオの暮らしの中で見えてきた「ずれ」から自文化を客観視しました。パラオ社会には「半分と半分」という原理があり、東と西で大酋長がそれぞれの地域を治めあえて統一は目指さないことや、全員の話を最後まで聞いて、その先に合意ができるといったパラオのルールを説明しました。

また、母系出自集団(カブリール)であり、妻のカブリールからは食べ物、夫のカブリールからは財貨が交換される贈与交換儀礼があるので、子どもの男女比は女の子が多いほうが理想とされることや、旅人のために一番よい芋をとっておくという旅人への流儀を紹介し、「旅人だった私にはいつもいいところを食べさせてくれた」とその文化を裏付けました。

最後に三田准教授は「自文化と異文化のずれ、『自文化が絶対』という視点が崩れ、より相対的に世界を見ることができるようになる。それが、他者との共存への道を拓く思考である」と結論づけました。

受講者からは「他文化との比較で自文化を知る面白い講義でした」「人の話を最後まで聞く、合意の文化など目からウロコで感動しました」など多くの感動と感想が寄せられました。

今回で秋期土曜公開講座は終了し、第85回土曜公開講座は来春5月より有瀬キャンパスで開講予定です。