神戸学院大学

社会連携

土曜公開講座「あなたならどうする?―つきあい方の科学―」を開催しました

2022/07/08

大角教授と対戦する受講者
大角教授と対戦する受講者
講演する大角教授
講演する大角教授
囚人のジレンマゲームを説明する大角教授
囚人のジレンマゲームを説明する大角教授

第83回神戸学院大学土曜公開講座を6月25日に有瀬キャンパスで開催しました。第4回目となる今回は、経営学部の大角盛広教授が「あなたならどうする?―つきあい方の科学―」と題して講義を行いました。

まず人間関係を単純化して考える方法として、「ゲーム理論」を紹介しました。ゲーム理論とは、競合する複数の参加者による意思決定戦略について数理モデルで分析する学問です。

その中でも、今回は最も有名な例である「囚人のジレンマ」に焦点を当てました。囚人のジレンマとは、ゲーム理論におけるゲームの1つで、お互いに連絡は取れない2人の共犯者が、『黙秘(信用)』か『自白(出し抜き)』の選択によって刑期が大きく変わるという前提の中、どちらか一方を選択します。
両者とも黙秘を選んだ方が全体で見れば刑期が短くなるにも関わらず、自白を選ぶと必ず相手よりも刑期が短くなるため、選択にジレンマが生じるというものです。講義では、実際にジレンマを体験するため、『黙秘』を「パー」、『自白』を「チョキ」とジャンケンに置き換え、受講者と大角教授で対戦を行いました。

次に条件を変え、「同じ人と何度も対戦が続く場合」について「繰り返し囚人のジレンマゲーム」を行いました。受講者同士で2人ペアを作り、先程と同様のルールでジャンケンを20回行い、相手を変えて4回ゲームをしました。上位5人には賞品が贈られ、ゲームは大いに盛り上がりました。

続いて、コンピュータ上で「繰り返し囚人のジレンマゲーム」のシミュレーションを行い、その結果を考察しました。「相手の手に関わらず、常に『黙秘』を選択する」「初回の対戦は『黙秘』を選択し、1度でも出し抜かれると以後は『自白』を選択する」等、さまざまな性質をもつ12種類のコンピュータプログラム同士で総当たり戦を行い、最も強い戦略は「しっぺ返し戦略」(初回の対戦は『黙秘』を選択し、以後は直前の相手の手と同じ手を選択する)という結果になりました。大角教授は、「囚人のジレンマは、1回限りの意思決定で終了する場合と繰り返す場合とでは、最適な戦略に違いが生じる性質がある」と全体を総括し、講義を締めくくりました。

受講者からは、「ゲームを実際に行うことで、講義の内容がよく理解できた」「参加型で楽しい講義だった」という声が多数寄せられました。

次回7月2日に開催する第5回目は、共通教育センターの佐藤毅准教授による「グラフを用いてデータを魅せよう」です。