神戸学院大学

社会連携

ポーアイ4大学連携推進センター主催の池上彰さん特別講演会が開かれました

2020/12/14

講師の池上彰さん
講師の池上彰さん
池上さんの講演を聴く学生や教職員
池上さんの講演を聴く学生や教職員
西本理事長(中央)、佐藤学長(左)らと懇談する池上さん
西本理事長(中央)、佐藤学長(左)らと懇談する池上さん
幹部教職員と懇談し、リラックスした表情の池上さん
幹部教職員と懇談し、リラックスした表情の池上さん
池上さんと記念撮影する幹部職員ら
池上さんと記念撮影する幹部職員ら

ジャーナリストの池上彰さんの特別講演会(ポーアイ4大学連携推進センター主催)が12月14日、ポートアイランド第1キャンパスで開かれました。

池上さんはNHK記者・ニュースキャスターとして活躍した後、2005年に退職してフリーに。多くのメディアでニュースの解説や分析にあたっているほか、名城大学教授、東京工業大学特命教授などとして社会情勢やメディア情報の読み解き方などを教えています。「毎日13の新聞を読み、九つの大学で教えています」と、エネルギッシュな情報収集ぶりについて自己紹介がありました。

同センター所長の角森正雄副学長が司会を務め、佐藤雅美学長が「ポーアイ4大学で特別な企画を実現したかった」と、開会のあいさつで述べました。

◆ホンモノの情報を得る力を磨く
池上さんは「ホンモノの情報を得る力~知る・考える・伝える力を磨こう~」と題して講演。新聞やテレビが伝える記事やニュースはデスクや校閲など複数の部署の何人ものチェックを経て公表されており、「絶対に誤りではない」とは言えないものの比較的信頼できると説明しました。一方、ネット上の言説は真偽の確認もなしに無批判に広がり、信頼度の点では比較にならないと注意を呼びかけました。意図的な誤りの情報を鵜呑(うの)みにせず、よく調べてから利用しなければいけないことや、その情報の出所が新聞記事なのか個人の感想なのか、きちんと確認すべきだとアドバイスしました。

現在のコロナ禍のように「人は不安になるとデマにひっかかりやすい」として、偽の情報かどうかを判断する方法について「常識を総動員し、知識を組み合わせる」と表現しました。知識は蓄えるだけでは「物知り」としか呼ばれず、その知識を運用することで「教養人」と呼ばれるとの話に、聞いている多くの学生らも深くうなずきました。

◆ウィキペディアは参考程度に
また、情報の「出所」について、米国の新聞を例に挙げ、ニューヨークタイムズやワシントンポストは信頼されるメディアだが、似たような名前の内容の偏ったメディアもあることを紹介しました。ネット上の「ウィキペディア」は原則として参考程度にとどめ、あえてレポートなどで記述を紹介する場合でも「何年何月何日現在のウィキペディアによると」と正確に書くべきだと述べました。

長引くコロナ禍との向き合い方についても、多くのヒントを提示しました。「24時間誰かとつながり続ける」今までの状態はむしろ異常で、コロナ禍がもたらした孤独に耐え、自分と向き合う時間を大切にすることの意義を強調しました。その上で、「未来から過去を振り返る視点」が大切だと述べ、「2050年に2020年の歴史がどう書かれるかは、皆さんがこれから作っていくこと」と、学生には奮闘を呼びかけました。

最後に学生から「社会科教師を目指している。生徒に教える上で注意すべきことは」との質問がありました。池上さんは「ネットで安易に情報収集せず、情報を見極め、メディアと付き合う力、つまりメディアリテラシーを身につけてもらうこと。そのためにはまず先生からです」と答えました。

講演後、池上さんは西本誠實理事長、佐藤雅美学長ら幹部教職員と懇談しました。「世紀を離れて違う出来事がつながるところに歴史の面白さがあると感じました」などの感想を池上さんに伝えました。