南京町商店街振興組合相談役 兼 株式会社老祥記代表取締役の曹英生氏が「トップランナー特別講義」で講演しました
2025/08/06
地元神戸の企業経営者の方々が、どのようなビジョンを持って発展してきたかなどについて語る「トップランナー特別講義」。7月21日は、南京町商店街振興組合相談役 兼 株式会社老祥記代表取締役の曹英生氏が「南京町の過去・現在・未来~動の町づくり、静の店の店づくり」をテーマに登壇しました。
まず、神戸南京町の発展の歴史について、当時の写真を見せながら説明しました。神戸港開港とともに中国人の居住地として繁栄した南京町でしたが、第二次世界大戦時の空襲により風景が一変しました。その後、兵庫県や神戸市、地域で協力して区画整理を実施。道が広くなり広場ができ、現在の南京町に近づいていきました。そして、さらに多くの人を呼べるようにと、中国の旧正月を祝う「春節祭」を開催。業者の手を入れずに南京町が一丸となって準備に取り組んだ過程を紹介しました。また、「先義後利」(先に人のために尽くすと、後から利が戻ってくる)という言葉を挙げ、費用をかけて春節祭を開催したことが、南京町の活性化につながったと話しました。
さらに、老祥記の歴史にも触れ、1915年の創業から「豚饅頭」という呼び名の発祥の店としての歴史を語りました。創業当初は苦労もあったものの、新聞に取り上げられたことをきっかけに徐々に人気店となっていった経緯を説明しました。
続いて、阪神・淡路大震災について、ライフラインが途絶え、ガス臭が立ち込める被災直後の南京町の状況を説明しました。直後に控えていた春節祭を中止し、南京町で協力して神戸市民のために炊き出しを実施。多くの被災者に喜んでもらえたことがきっかけとなり、瀬戸物市や写真展など、さまざまな催しを通じて神戸の復興を支援していくことになったと当時を振り返りました。また、「自粛を自粛する」という考えのもと、神戸に元気を取り戻そうと地域で団結し、「神戸五月まつり」を開催した経験も紹介しました。
講義の中では、企業としての社会的責任(CSR)についても触れ、老祥記では、震災の被災地支援や食育活動など、さまざまな社会貢献活動に積極的に取り組んでいることを紹介しました。
最後に曹氏は、これからの時代に必要なリーダーシップについて、これからのリーダーは常に現場を見て、そこで得た情報をもとに正しい方向へ導いていくことが大切だと述べました。そして、「困難の懐(ふところ)に飛び込め、そっちの方が楽」という言葉を紹介し、「嫌なことから逃げるとかえってしんどくなるが、困難を飛び越えた時には達成感や経験を得ることができる」と伝えました。さらに、「つい先延ばしにしてしまいがちなことがあったら、とりあえず10秒だけやってみてください。きっかけを作れば自然と進んでいくこともあります」と、学生たちにアドバイスを送りました。
講義を受けた学生らは、「南京町がどのようにして今日の姿を築いてきたのか知ることができた」「先義後利という言葉を知って、人との付き合い方を大切にしたいと感じた」「現場主義の大切さを知り、これから社会に出たときに大事にしたいと思った」と話していました。
今回の授業で、今年度のトップランナー特別講義はすべて終了しました。