神戸学院大学

社会連携

「いちょうカレッジ」のいのちを守る防災コース(第3回)を開催しました

2019/07/17

大阪市生涯学習まちづくり市民大学「いちょうカレッジ」のいのちを守る防災コース(第3回)が6日に実施されました。心理学部の三和千徳教授が「災害のストレス反応について」をテーマに、精神科医の立場から、トラウマ(心的外傷)や災害時の心理的変化、ボランティアの二次受傷や対策などについて講義しました。

はじめに、「トラウマとは、人の心が個人の能力、社会システムといった対応能力を超えるような情緒的、感覚的衝動を受け、その働きが半ば不可逆的な変化を被ることです。“突然起こる理不尽で残虐な体験”により、無力感や怒り、恐怖を起こします。また、トラウマ体験した後に生じる精神障害にPTSD(心的外傷後ストレス障害)があります。日本では、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件でPTSDが有名になりました。PTSDは、侵入症状、覚醒度と反応性の著しい変化、回避、認知や気分の陰性変化の4つの症状があらわれます。例えば、大災害後に不眠に陥り飲酒量が増えたり、人柄が変わってしまうケースもありました」と解説しました。

また、PTSD以外のストレス反応として、自分だけ生き残ってしまったことに対する罪悪感(サバイバーズ・ギルド)や、英雄のように振る舞えなかったことによる罪悪感(ジョン・ウェイン症候群)が生まれることを説明。そのほかに、災害復興に携わる支援者(ボランティア)の二次受傷などの例を挙げました。

トラウマに対する治療については、「すべてのトラウマが回復困難ではなく、多くの人は環境が良ければ自然回復します。まずは生活の基盤を整え、自力で歩めるように支援することが大切です。現実的な支援と情報を提供すること、家族や友人、地域社会と切り離さず、もし離散していれば可能な限り早く結びつけるようにしましょう。“急性期のストレス反応は、あたりまえのことで、すべて病的ではない”と伝え、どこに連絡すれば相談できるかを情報提供することも大切です」と締めくくりました。

受講者は「PTSDについて初めて知ることが多く、大変参考になりました。自分がボランティアとして参加した時に、自分や被災地の人に役立つ知識を得ることができました」と話していました。

次回は、現代社会学部の伊藤亜都子教授が13日に「地域防災力の向上に向けて」をテーマに講演します。