神戸学院大学

学長式辞

2024/04/05

本日入学式に集われた学部新入生の皆さん、編入学・転入学生の皆さん、大学院新入生の皆さん、ようこそ神戸学院大学へ。神戸学院大学を代表して、ご入学のお祝いを申し上げます。皆さんが神戸学院大学の「メンバー」になられたことを、教職員一同、心から歓迎いたします。
同時に、新入生のご家族、保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。この2024年度入学式を挙行できますことは大学関係者にとりましてこの上ない喜びであり、ご協力いただきました皆様に対しましても、この場を借りて心より御礼申し上げたく存じます。

さて、新入生の皆さんは、もうすでに入学式前に様々なオリエンテーション等を受けていることと思います。配布された印刷物も多岐にわたり、そうした印刷物に書かれている内容を解読するところから大学1年次生は始まるといっても過言ではないかもしれません。そして来週月曜日から、いよいよ講義やゼミなどが始まります。
私が一人の教員として毎年新入生のゼミの初回で必ずしてきたことがあります。それは、これから卒業までに「しなければならない」、「やりたい、成し遂げたい」と思っていることを、可能な限りたくさん、具体的に書き出してもらうという授業です。希望の出発はゴールの設定から始まるからです。そして、そのリストの答え合わせを卒業する時にしてほしいと締めくくっていました。

この3月に巣立った2023年度卒業生は、入学しても新型コロナ禍で入学式は行われず、2年半ほどは遠隔授業を受講することを余儀なくされ、大学生活が翻弄された学生たちでした。その卒業生が答辞でこのように語ってくれました。

「『必ず海外留学を』と意気込んで入学しましたが、コロナウイルスの大流行で、海外留学どころか、国際線のグラウンド・スタッフになるという夢さえ諦めかけていたときもありました。
しかし、コロナウイルスが収まってきた3年次生の春休み前、最後のチャンスかもしれないと国際交流センターに行くと、その次の日が締切りのオーストラリアでのインターンシップ募集があると知り、すぐに申し込みました。
オーストラリアでの1カ月間は、この22年間で最も濃い1カ月間となったのです」と。

私の専門分野であるキャリア・デザイン研究のなかに「計画的な偶然」という言葉があります。「偶然」が「計画的」というのは、矛盾しているように思えるかもしれません。この答辞の中の学生はコロナ禍でくじけそうになっても「海外留学」したいというゴールへの気持ちは忘れませんでした。その気持ちを持ち続けていたからこそ、つまり気持ちの「準備」が計画されていたからこそ、締切りが翌日という「海外インターンシップ」の募集を、まさに「偶然」見つけることができたのです。このように考えると、「計画的な偶然」という言葉の意味を理解してもらえるのではないでしょうか。その偶然に出会うためにも、ゴールを決めて「逆算」を始めてほしいのです。

ひとには、人生の中でいろいろな出会いがあります。大学においてもそれは同様です。様々な専門科目や教員との出会い、新しい友人との出会い、部活での仲間や先輩との出会い、ボランティアや社会連携事業等キャンパス外での活動での出会い。そうした出会いの一つ一つが、実はあなたたちの未来を形成するための「計画的な偶然」そして「準備」になってほしいと思っています。そして、ぜひその「偶然」としっかりと向き合ってください。神戸学院大学は、そのさまざまな偶然と準備の機会を創造し、あなたたちと出会ってもらう場だ、と私たちは考えています。

神戸学院大学が提供する「偶然」と出会うための「準備」の場として、最初にあげるべきは、何よりも皆さんが入学して学ぶ共通教育及び学部専門教育のそれぞれの科目です。しかし、それだけではありません。医療・福祉系4学部6学科合同の「専門職連携教育(IPE)」、文系5学部対象の「スポーツサイエンス・ユニット」、英語力強化プログラムの「神戸学院カレッジ」、教員免許を目指す「教職課程」など、総合大学ならではの学部横断型教育プログラムも正課内で持っています。
正課外のプログラムも豊富です。短期海外研修、長期留学制度、体育会・文化会などの課外活動、資格・検定や公務員を目指す人のための「課外講座」、オープンキャンパス学生スタッフ「オーキャンズ」、大学祭中央実行委員会などがそうした正課外プログラムの一つです。

そしてもうひとつ、「地域と繫がる」。神戸学院大学は運営の理念としてだけではなく、教育・研究においてもこれを標榜しています。正課内外を問わず、企業、自治体、地域住民の方々との様々な社会連携・地域貢献活動に、多くの学生が参加をしています。
国際交流行事に積極的に参加し、韓国語と中国語の語学力向上に努めた法学部生。地元の魅力を調べた冊子を作成し、本学と母校との教育連携協定締結にもつなげた経済学部生。スポーツビジネスコンテストに参加し、2年連続で優秀な成績を上げた経営学部生。イベントスタッフのリーダーとして、オリジナルの学部紹介動画を完成させた人文学部生。「明石こども食堂」にボランティアで参加し、リーダーを務めた心理学部生。
ボランティアスタッフとしてポーアイ・グリーンツアーを実施して植生マップを作成した現代社会学部生。「英語模擬国連」で「ベスト・ポジションペーパー賞」、「ポジティブ・インパクト大学賞」を受賞したグローバル・コミュニケーション学部生。明石の観光地紹介動画を作成し、明石市内バス利用促進に貢献した総合リハビリテーション学部生。神戸マルイの記念イベントで手作りのスイーツ店を出店した栄養学部生。自主的な勉強会を継続して開催し、専門の学びを共有する試みを実施した薬学部生。
多くの学生が地域や仲間と繫がってそれぞれの「素敵」を見つけています。

神戸学院大学は、皆さんの「素敵なこと」を実現する「準備」を全力で応援していきます。そして、皆さんが卒業の時に自らの成長を実感して、自信を持って社会に飛び立ってくれることを心から願っています。
新入生のご家族の皆様におかれましては、大学とご家庭の「架け橋」として長い実績のある「教育後援会」の一員となられます。教育後援会の活動を通じて、神戸学院大学に親しみを感じていただければ幸甚でございます。
本学は今年1月に創立58年を迎え、学校法人神戸学院は、今年創立112周年を迎えました。新入生の皆さん、ぜひこの神戸学院大学の一員として、思う存分様々な「偶然」に出会い、自らの歴史を切り開く「準備」をしていってください。
最後に。人生で最も素敵なことは偶然起きます。そして、「偶然」はゴールからの「逆算」から起きます。
本日はご入学、誠におめでとうございます。

2024年4月5日
 神戸学院大学学長 中村 恵