神戸学院大学

国際交流

国際交流センター企画の「総領事館連携講義」で駐大阪・神戸ドイツ総領事が登壇しました

2022/10/28

客員教授の委嘱状を国際交流センターの岡部所長から受け取るエバーツ総領事(中央)
客員教授の委嘱状を国際交流センターの岡部所長から受け取るエバーツ総領事(中央)
講義するエバーツ総領事
講義するエバーツ総領事
学生からの質問に答えるエバーツ総領事(中央)
学生からの質問に答えるエバーツ総領事(中央)
エバーツ総領事を囲んで記念撮影する学生たち
エバーツ総領事を囲んで記念撮影する学生たち
中村学長(中央)らを表敬訪問したエバーツ総領事(右隣)
中村学長(中央)らを表敬訪問したエバーツ総領事(右隣)

国際交流センターが企画した「総領事館連携講義」の2人目の講師で駐大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館のマルティン・エバーツ総領事が10月26日、ポートアイランド第1キャンパスに中村恵学長と住智明大学事務局長を表敬訪問し、続いてドイツ語で特別講義しました。

■中村学長と労働経済分野で日独の共通点などを懇談
中村学長との懇談では、学長の専門の労働経済の分野で、労働者の需要、企業内職業トレーニングなどをめぐり日独の共通点と相違点を話し合いました。「新型コロナウイルス感染拡大やウクライナでの戦争の影響で、ドイツも経済危機にあります。わが国は何度も経済危機をくぐり抜けた経験がありますが、短期労働者を雇用することで助けられました」と総領事は語りました。一方、中村学長は「ドイツの複数の企業を訪問して、人事、営業などのスタッフにインタビューしたことがあります。ある大手企業では壁一面に同社で働く人たちの写真が貼られていて、労働者を大切にしていることが分かりました」とドイツの企業文化の良さについて触れました。

■ウクライナでの戦争がエネルギー政策にも影響
国際交流センターの岡部芳彦所長の司会で行われたエバーツ総領事の講義の演題は「ドイツの『エネルギーシフト』とロシアのウクライナへの侵略戦争の影響」。ドイツでは、2022年までに原子力発電を廃止し、化石燃料を減らして再生可能エネルギーの比率を大幅に増やす「エネルギーシフト」が政策として実行されてきました。ところが、ロシアの軍事侵攻によるウクライナでの戦争が事態を大きく変えたといいます。

ドイツ国民が原子力発電に対して厳しい反対の姿勢を示してきたのは、核廃棄物の処理問題が未解決であることや、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故の衝撃の大きさなどが背景にあるとの説明でした。ところが、ロシアの軍事侵攻で始まったウクライナでの戦争の影響で、「再稼働可能な原発では発電を再開し、当面は石炭発電所も再び稼働させなければと政府は考えました」とエバンス総領事は電力のひっ迫に対応するための政策の変換を語りました。

■水素エネルギー活用で日本は理想的なパートナー
さらにドイツはロシアからの天然ガス輸入に依存しないため、北部に液化天然ガス(LNG)基地のターミナルを建設中だと紹介しました。「インフラは輸入水素の貯槽にも対応できます。水素エネルギーの製造技術や活用について、日本は理想的なパートナー。LNGタンカーの製造技術も日本は進んでいます」とも述べました。

学生からは「ロシアの軍事侵攻でウクライナや周辺国から避難民が増えたことにはどう対応していますか」と質問がありました。エバーツ総領事は、「かつて中東から150万人の難民が押し寄せて治安が乱れたことがあります。今は流入をコントロールしており、治安の悪化もありません。ウクライナの人たちはドイツになじもうとしています。住居を提供する問題などはあります。私の家はポツダムにありますが、ウクライナから避難した2人を受け入れ、何の問題もありません」と答えました。

昨年11月のエバーツ総領事の講義の記事はこちら