神戸学院大学

学生チャレンジプロジェクト

レゴブロックを活用した革新的な救命教育手法の確立 ―図上訓練による「俯瞰的シミュレーション」の実現を目指して―

2026/02/02

Rescue Designers(レスキューデザイナーズ)集合写真
Rescue Designers(レスキューデザイナーズ)集合写真
活動の様子①
活動の様子①
活動の様子②
活動の様子②
活動の様子③
活動の様子③
9月27日に開催された「小児蘇生法」チラシ
9月27日に開催された「小児蘇生法」チラシ

2025年度学生チャレンジプロジェクトの採択団体である「Rescue Designers(レスキューデザイナーズ)」では、有事の際の対応を俯瞰的にシミュレーションできる新たな救命講習手法の確立を目指し、レゴブロックを用いた図上訓練プロジェクトに取り組んでいます。
本プロジェクトは、従来の講習では難しかった「現場全体の把握」や「具体的な状況イメージ」を視覚化することで、より実践的な救命スキルの向上を図るものです。

試行錯誤を重ねた5回にわたる活動
プロジェクトは、昨年の7月から今年1月にかけて計5回の講習・実証実験を実施しました。
始まりは7月25日、ポートアイランド第2キャンパスでの学内試験的な講習(参加者9名)でした。
ここでは座学と図上訓練を組み合わせ、手法の基礎を検証しました。
続く7月31日には、神奈川県鎌倉市の「面白法人カヤック」および学生団体「ニューコロンブス」の協力を得て、約10名を対象とした実証実験を実施。
シナリオ訓練を導入し、より実戦に近い形での運用を試みました。

秋以降は、対象をさらに広げ、9月27日には三ノ宮のコークリエーションセンターにて、業務上救護義務がある「レスポンダー」向けの小児蘇生法講習を実施。
10月11日にはポートアイランドキャンパスにて、Bネットと連携した21名規模の講習を行い、図上訓練を組み込むことによる学習効果の蓄積に努めました。

そして本年1月15日、兵庫県立舞子高等学校にて、1年生から3年生までの40名を対象とした大規模な図上訓練を実施しました。
これまでの課題であった建物サイズの縮尺や配置の問題を完全にクリアし、いつでもどこでも実装可能な「100%完成形」の教材を作り上げることに成功しました。

レゴブロックがもたらす「俯瞰」の力
今回のプロジェクトを通じて、合計82名(大学生32人、企業10人、高校生40人)が本手法を体験しました。
参加者からは、「立体的で分かりやすい」「状況を具体的にイメージしやすい」と極めて高い評価を得ています。

具体的には、「実際には徒歩数分かかる距離も、模型上では数秒で確認でき、効率的に動線を検討できた」
「レゴ人形の向きを変えることで、誰がどの方向を注視すべきか、死角はどこかといった細かな把握ができた」といった声が寄せられました。
図上訓練で状況を整理した後に実技の救命講習へ移ることで、知識の定着がより強固になることも確認されました。

今後の展望と応用可能性
本プロジェクトの成果は、救命講習に留まりません。
参加者からは、通学路の安全確保や津波・洪水時の避難、地震対策、防犯教育など、あらゆる防災分野への応用を期待する声が上がっています。
また、学会発表等を通じて防災・蘇生教育の最新動向を学び、専門性を深める「蓄積のフェーズ」を設けたことが、教材の完成度を高める大きな要因となりました。
当初想定していた専門職向けだけでなく、偶然現場に居合わせた「バイスタンダー(発見者・同席者)」まで、幅広い層に提供できる教育パッケージが整いました。

プロジェクト代表者からは、「今回のプロジェクトを通じて、レゴブロックという身近なツールが、人の命を守るための強力な教育資材になることを確信しました。
特に1月の舞子高校での実施において、これまでの課題をすべて解決した『完成形』を披露できたことは、私たちにとって大きな自信となりました。
単に知識を伝えるだけでなく、参加者が自ら考え、俯瞰して状況を判断する力を養えるこの手法は、今後の防災教育のスタンダードになり得ると考えています。
今後は、救命だけでなく地震や防犯など、地域社会の安全・安心に貢献できるよう、この知見をさらに広く展開していきたいです。」との感想が聞かれました。