「総領事館連携講義」で在大阪イタリア総領事が講義しました
2025/11/24
共通教育科目の授業として企画された「総領事館連携講義」でイタリアのフィリッポ・マナーラ在大阪総領事の特別講義が11月19日、ポートアイランド第1キャンパスで開かれました。有瀬キャンパスともオンラインで結び、イタリア語の講義音声をAIを使って日本語の字幕で表示する試みも実施しましたが、やはりプロの通訳にはとてもかなわないことが分かりました。
講義に先立ちマナーラ総領事は備酒伸彦学長と高山修大学事務局長を表敬訪問し、大阪・関西万博でのイタリア館の盛況ぶりや展示品の再活用などを話題に懇談しました。備酒学長は「日本では少子高齢化や地方の衰退が社会問題。イタリアの事情はいかがですか」と尋ねました。マナーラ総領事は「私の故郷、北イタリアのベルガモは城壁に囲まれ、中世の街並みを保存しています。大学を大きなキャンパスとして建設するのではなく、小規模に分散させて古い民家などの建物をそのまま活用するという手法で若い大学生の力を活用し、人の動きを創り出しています」と答えました。
講義は自己紹介から始まり、今年2月に着任し、3月に大統領の訪日に備えるという大役をこなしたと話しました。大学では国際関係学を学び、世界各地で安全保障や戦後の復興などの仕事をした後に外交官となり、トルコや米国でも勤務しました。総領事館の仕事はミニ大使館のようなもので、大使館がしている仕事で私たちが唯一しないのは政治だけですと述べました。「日本に住んでいるイタリア人が逮捕された場合、あるいは重い病気や経済的困窮に陥った場合の対応も大使館や総領事館の仕事」との説明もありました。
「天正遣欧少年使節」の伊東マンショ(マンチョ)らが大名の名代としてイタリアに渡ったのは1582年。来年は日伊修好条約が結ばれ、日本とイタリアが外交関係を結んでから160年の節目を迎えることにも触れました。「私たち両国は民主主義の大切さを共有し、女性の首相が誕生したことも同じです」と共通点を挙げました。
日本への代表的な輸出品にはファッション、食品、飲料などがあり、「イタリア人はおしゃれで素敵に身なりを整えることを重視する」ことも紹介しました。最後に「いろいろなことに興味を持ってください。イタリアにも行って、ローマやベネチアなど著名な観光地だけではなく、小さな村にも素敵な人がいることを発見してきてください」と呼び掛けました。
国際交流センターの岡部芳彦所長が司会を務めた質疑応答では、「イタリアのファッション産業は就業人口の低下に伴い、生産性の悪化も指摘されますが」との質問が出ました。マナーラ総領事は「大企業のような体力がない中小企業が多いからという側面があります。しかし、グッチやプラダなどのブランド企業もかつては、小さな町工場からスタートしました。一つ一つの製品を手作りし、品質を大事にすることを忘れず、研究を続けているからこそ、今日の成長につながったことにも目を向けてください」と答えました。
日本で好きな食べ物は焼き鳥、苦手なのはあんこというのも受講生には意外だったようです。「あまり有名でないイタリア料理でぜひ食べてほしいものは何ですか」と聞かれ、マナーラ総領事は「リゾットです。特に4種類のチーズを使ったフォルマッジやサフランを使ったものは食べてほしい料理です」と、故郷ベルガモの料理を挙げました。
