神戸学院大学

卒業生でステンドグラス作家の村岡靖泰さんが黄綬褒章を受章しました

2017/04/28

阪神・淡路大震災の被災者の鎮魂のために製作した作品を手にする村岡さん
阪神・淡路大震災の被災者の鎮魂のために製作した作品を手にする村岡さん

本学の卒業生で、ステンドグラス作家の第一人者として知られる村岡靖泰さん(1971年法学部卒)が、春の褒章で黄綬褒章を受章されました。村岡さんは1999年に神戸市から神戸マイスターに認定され、3年前には兵庫県技能顕功賞を受賞。そして一昨年11月には厚生労働省から卓越した技能者(現代の名工)に選ばれています。

村岡さんは受章について「現代の名工もそうですが、自分では思ってもみなかったこと。周囲の方々に支えていただいたおかげです」といい、後輩の学生の皆さんには「自分の力で目標を見出し、早く自立してほしい。好きなことなら、我慢もできるはず」とエールを送っています。

村岡さんは大学卒業後、大阪の銀行で働いていましたが、「ずっと続けるつもりはなかった」といい、4年後に辞表を出しヨーロッパを旅行。訪れたパリのノートルダム大聖堂で、「バラの花」と呼ばれるステンドグラスに出会ったのが人生の転機でした。「白い光が差し込んでいるように感じ、鳥肌が立つほど魅せられた」といいます。

その後、本場のイギリスに渡り、あるガラス店で、著名な工房「ジョン・ハードマン・スタジオ」などを経営するオーナー、フィリップ・エドガー氏と運命的な出会いをします。その工房で9年10か月にわたって修復作業や絵付けを学び、バーミンガムミュージアムなど有名な建造物の修復を担当。帰国し、87年に自分の工房「グラス‐エム」を持ってからも、海外を行き来してきました。

「美大を出ているわけでもないし、いま思えば無謀でした」「当時は、EUもなかったし、半年働いてはヨーロッパ圏の他国に移動して、再びイギリスに戻って働くという繰り返しでした」と振り返ります。村岡さんは、後継者の育成にも精力的に活動。日本国内のステンドグラス製作を担う次世代のために、本場ヨーロッパで培った方法を伝授するアカデミーを設立。既に30数人の教え子がいて、工房を持つ人もいるそうです。

村岡さんは6月21日、同窓会と大学が連携し、経済学部、人文学部、総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科、栄養学部の3年次生以上を対象に開講している産業界等連携講座で「彩の光に魅せられて」のテーマで講義します。