神戸学院大学

国際交流

兵庫県立伊川谷高等学校にて開催された国際理解シンポジウムでウクライナ出身のゴラル経済学部客員教授と中国からの留学生、温さんがパネリストを務めました

2023/01/23

発言するウクライナ出身のゴラル客員教授(中央)
発言するウクライナ出身のゴラル客員教授(中央)
パネリストとして参加したゴラル客員教授(右)と経済学部生の温さん
パネリストとして参加したゴラル客員教授(右)と経済学部生の温さん
事前打ち合わせ(12月7日)に参加した温さん(左)とゴラル客員教授(中央)
事前打ち合わせ(12月7日)に参加した温さん(左)とゴラル客員教授(中央)
事前打ち合わせ中の参加者ら
事前打ち合わせ中の参加者ら

「国際理解シンポジウム ~食べ物を通して世界を知ろう~」が昨年12月22日、有瀬キャンパスに近い兵庫県立伊川谷高等学校で開催されました。

5カ国出身のパネリストのうち、本学からはウクライナ出身のナディヤ・ゴラル経済学部客員教授と中国からの留学生で経営学部4年次生の温祖児(オン・ソジ)さんが参加しました。米国代表として同校のALT(外国語指導助手)、フィリピン代表として同校第40回卒業生、日本代表として同校生徒会長が参加しました。

各パネリストが「各国の主食&おススメごはん」を紹介し、食文化やフードロス問題などについて意見を出し合いました。この模様は各教室の全校生徒588人に向けてライブ配信されました。生徒たちは、パネリストの発言を聞いて気づいたことや、疑問点などをシートに記入し、NPOまちづくりスポット神戸のファシリテーターが集約して紹介しました。

最後のまとめでは、パネリストより「『もったいない』という言葉は、他のどの国にもなく、日本独自の言葉で『無駄にしない、感謝する』といった気持ちからきたものです。皆さんも自分の好きな食べ物など身近なものからその食べ物は何人の人の手を経て、どのような形で自分たちのもとに届くのか、また、食べた後のゴミはどうなるのかなど、関心を持って、日々過ごして欲しい」との呼びかけがありました。

配信を教室で見ていた高校生の多くが関心をもち、新しい知見を得て楽しかった様子だったと同校から便りが届きました。

本学から出席したパネリスト2人の自国の食べ物にまつわる報告は以下の通りです。

ウクライナ・Nadiia Goral(ナディヤ・ゴラル)経済学部客員教授
【主食】パン(ウクライナ語:フリブ)
※ウクライナは昔から「欧州のパンかご」として知られている
(特徴)
・日本で知られているフランスパンと比べると、外皮部分はそこまで硬くない。内部は比較的に軟らかくて、もちもちとした食感である。
・小麦粉、ライ麦粉、そば粉などを材料とし、オーブンで焼いて作る
・小麦粉で作られたものが「白パン」、ライ麦粉で作られたものが「黒パン」と呼ばれていて、一般的には白パンの方が黒パンより人気があるが、黒パンは、ビタミンB と E が多く含まれていて、白パンより健康面では良い。
(風習)
・現代のウクライナ人は、パンにバター、マーガリン、ジャムなどを塗って食べているが 以前はラードをぬり、ニンニクを付けて食べていた。
・パンは主食だけではなく結婚や歓迎の際に、お祝いの料理として食べられている。現代でもウクライナを訪れた他国の外交官を歓迎する習慣があり、小さな皿に塩を乗せてパンと共にふるまい、歓迎される側は、パンをひとかけらちぎって、塩を少し付けて食べて歓迎に答える。

【お薦めの料理】ボルシチ:赤いビーツと他野菜と肉の煮込みスープ
(特徴)
・栄養価の高いスープで、寒い冬に温めてから食べるのがぴったり合うが、冷やして食べると甘酸っぱい味がして暑い夏にも合う。
(風習)
・母国の文化では、ボルシチの色を楽しむことも大切である。真っ白な冬にスープの濃い赤色を見ると温まり、クリスマスやお正月の雰囲気作りにも一役を担う。暑い夏に赤いボルシチの上にたくさんクリームをかけて、綺麗なピンク色を楽しむこともできる。
・ボルシチのレシピは、地域によって多様であり、60種類もあるため、何度食べても味が違い飽きずに食べ続けられる。地域の味を比べるのも面白みがある。
・ウクライナのボルシチはユネスコの世界無形文化遺産に登録されている
【フードロス対策】
紹介したボルシチは赤いビーツから作られているが、ウクライナ人は、ビーツの茎と葉っぱも捨てないで、「ヴォーロク」という料理に使う。ビーツの茎、葉、ホウレンソウなど冷蔵庫にある葉もの野菜を混ぜて弱火で炒めるとペストなソースになる。パンと一緒に食べてもいいし、パスタと混ぜてもおいしく食べられる。

中国・温祖児(オン ソジ)さん(経営学部4年次生)
【主食】北部:小麦を使った麺や蒸しパン、南部:米
(特徴)
・国土の北端はロシアのように寒いのに対し、南端は東南アジアと変わらないほど暑い。
・暖かい地域であるほど育つまでにかかる時間が短い。気温が高く、雨が多い南方では、3カ月ほどで収穫できるため、冬を除いた時期に年に3回収穫することができる。
・北方は日本と同じく年に1度しか米が収穫できないため、餃子やラーメンなど小麦粉を使った料理を食べるのが一般的である。
(日本の料理との比較)
・日本ではラーメン店などで、炒飯と餃子のセットメニューが人気だが、中国人から見れば、ラーメンも炒飯も餃子も全てが主食として食べられているため、とても違和感がある。
【おすすめ料理】腸粉(チョウフン):広東省や香港では定番で、朝食によく食べられる
(特徴)
・高級レストランから夜市の屋台までいろいろなところで提供される人気の料理で、その手軽さから、中国を代表するB級グルメの一つである。
・味の決め手はソースで、中身は基本的には何を詰めてもよい。人気の具材は、豚、エビ、卵、トウモロコシなどである。
【フードロス対策】
・中国では栽培技術の進化を背景に、大量の食料を作ることができるため、自給自足率は2000年頃で100%、2022年の現在でも97%と高い水準を維持している
(自給自足率37%の日本からは想像もできないハイレベル)
・食品廃棄物発生量がもっとも多いのは中国で、1億300万トンと断トツ世界1位
・中国ではもともと、客に対して食べきれない量の料理を並べてもてなす文化があり、食べ残しが問題となっていた。
・2021年4月29日、食べ残しを禁止する法律「反食品浪費法」が可決された。この法律は中国の文化を変えようと大きく動き出していると見なされている。
※店員は客が適量を注文するよう促す必要があって大量に注文させた場合は最大で日本円約16万円の罰金となる。その他にも、中国の動画共有サイトで人気の「大食い映像」の配信を禁止し、大食い番組に関わったテレビ局や動画配信業者に対しても日本円約160万円の罰金を科すなどの罰則が施行された。