神戸学院大学

国際交流

国際交流センター企画の「総領事館連携講義」で在大阪スイス領事館長が特別講義しました

2023/01/13

国際交流センターの岡部所長から客員教授委嘱状を受け取ったメスナー領事館長
国際交流センターの岡部所長から客員教授委嘱状を受け取ったメスナー領事館長
講義するメスナー領事館長(右)と岡部所長
講義するメスナー領事館長(右)と岡部所長
メスナー領事館長に質問する受講生
メスナー領事館長に質問する受講生
メスナー領事館長を囲み記念撮影
メスナー領事館長を囲み記念撮影
メスナー領事館長(中央)を囲み、中村学長(左隣)らで記念撮影
メスナー領事館長(中央)を囲み、中村学長(左隣)らで記念撮影
中村学長(手前右)と談笑するメスナー領事館長
中村学長(手前右)と談笑するメスナー領事館長

国際交流センターが企画した「総領事館連携講議」で在大阪スイス領事館のフェリックス・メスナー領事館長が1月11日、中村恵学長らを表敬訪問し、特別講義を実施しました。

メスナー領事館長は2021年8月に大阪に着任。本学訪問は昨年8月に続き2回目ですが、特別講義は初めてです。夫妻で中村学長、津田裕子副学長、岡部芳彦同センター所長、住智明大学事務局長と懇談し、関西、日本の企業や大学とのコラボレーションによる先端分野でのイノベーションの実現という自らの使命などについて語りました。

中村学長は専門の労働経済の立場からスイスに本社を置く世界最大の食品・飲料メーカー「ネスレ」の担当者から人事施策などについて聞き取り調査したことがあり、学ぶべき点が多かったことを語りました。そのほか、資源小国で科学技術の発展に国の生き残りがかかるスイスと日本との共通点などが話題になりました。

特別授業の演題は「Switzerland――Country of Innovation and more(スイス――イノベーションとそれ以上の国)」。通訳なしに英語で実施されましたが、資料が事前に提供されたこともあり、「理解しやすかった」と学生からの評判も上々でした。

■教育とイノベーション分野に特化した領事館
自己紹介で、メスナー領事館長はスイス連邦工科大学チューリッヒ校、米国マサチューセッツ工科大学、東京大学で研究し、ロボット工学の博士号を取得したことや、東芝で技術者として勤務した経験を語りました。さらに在大阪領事館は教育とイノベーションの分野に特化した新しいタイプの対外公館で、日本の新しい科学技術とビジネスのトレンドを見つけ、スタートアップビジネスの立ち上げに貢献することが自身の主な使命だと述べました。

■イノベーション指数、幸せな国指数ランキングで常に上位のスイス
スイスは日本の10分1程度の広さの国土に大阪府の人口よりやや少ない約840万人が住み、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリアと国境を接しています。メスナー領事館長は、世界各国のイノベーション指数(インデックス)ランキングでスイスは常に上位に位置し、世界の最も幸せな国指数ランキングでも常に上位にあることを示し、「イノベーションを生み出す国のレベルと幸福度は関連しています」と述べました。

■アインシュタインもスイス人
大学進学率は25%程度にすぎず、多くは職業訓練学校で専門的な技能を身につけるのがスイスの教育。職業経験を経て再び大学に戻る人も多く、柔軟な社会システムがもたらす教育レベルの高さもデータで見せました。スイスが生んだ有名人として、相対性理論で知られるノーベル物理学賞受賞者、アインシュタイン博士の名前を挙げました。ユダヤ人だとはよく知られていますが、実はスイス出身です。

さらに教育、研究、イノベーション分野でスイスと世界を結ぶグローバルネットワーク「スイスネックス」の世界で6番目の新しい拠点が在大阪領事館だとの説明があり、ネットワークされている全国16大学の一つに本学も入っています。

■2025年の大阪・関西万博にもパビリオンを出展予定
最後に2025年に開かれる大阪・関西万博にスイスもパビリオンを出展し、人間中心のイノベーション、持続可能な地球、ヘルシーライフの三つの主要テーマで展示を実施することを話して締めくくりました。

■永世中立国は200年以上前から―平和な国であるためには他国との交渉も
受講生からは、「スイスが永世中立国になるにあたって何か政策決定があったのでしょうか」と質問が出ました。フランス革命とナポレオン戦争終結後の欧州の秩序再建のため1815年に開催されたウイーン会議でフランス、プロイセン(現在のドイツ)、ロシア、英国などからスイスが永世中立国となることが保証されました。メスナー領事館長は「永世中立国は200年以上続いていますが、平和で中立的な国であることは簡単なことではなく、他国との緊密なコミュニケーション、時には交渉も必要となります」と答えました。