神戸学院大学

国際交流

国際交流センター企画「総領事館連携講義」で在大阪オランダ総領事が津田副学長らを表敬訪問し、特別授業をしました

2022/12/20

岡部所長から感謝状を贈呈されるカウパース総領事
岡部所長から感謝状を贈呈されるカウパース総領事
特別講義するカウパース総領事
特別講義するカウパース総領事
津田副学長(左)、岡部所長(右)と記念撮影するカウパース総領事
津田副学長(左)、岡部所長(右)と記念撮影するカウパース総領事
ポートアイランド第1キャンパスからの風景を賞賛するカウパース総領事(左)
ポートアイランド第1キャンパスからの風景を賞賛するカウパース総領事(左)
カウパース総領事と記念撮影する受講生ら
カウパース総領事と記念撮影する受講生ら

国際交流センターが企画した「総領事館連携講義」の講師として在大阪オランダ総領事館(大阪市中央区)のマーク・カウパース総領事が12月14日、ポートアイランド第1キャンパスで特別講義をしました。講義に先立ち、カウパース総領事は津田裕子副学長らを表敬訪問し、講義のテーマなどについて懇談しました。総領事は本学の建物や設備、神戸港に面した立地と周辺の景観を「素晴らしい」と、賞賛しました。

カウパース総領事は昨年8月に着任しました。「私は(オランダ第2の都市の)ロッテルダム出身です。ロッテルダム港は神戸港と姉妹港です」と自己紹介しました。オランダが参加を表明している2025年の大阪・関西万博(EXPO2025)でも出展プロモーションを実施する予定です。

■ウクライナからの避難民受け入れで地価高騰
講義では、最近のオランダの情勢として、コロナ禍で経済が打撃を受けていた上に、ロシアのウクライナ侵攻で始まった戦争がもたらした影響の大きさについて語りました。毎年数万人の中東からの難民を受け入れていたのに加えて、かなりの数のウクライナからの避難民を受け入れているため、地価が高騰しているとの説明もありました。

また、国連の世界幸福度ランキング2020ではオランダが第5位にランクインしていることや85%の国民が「人生に満足している」と答えていることなどから住みやすさをアピールしました。600以上の日本企業が進出し、8000の子会社が展開していることにも触れ、日蘭の経済の結びつきの深さについても紹介しました。自然エネルギーの活用では洋上風力発電で長崎大学と協力していることや、水素エネルギーの利用促進では神戸市港湾局と連携していることも話題にしました。

■第二次大戦中には日蘭でユダヤ人を救った「命のビザ」リレー
日蘭の交易は鎖国していた江戸時代も長崎で行われていました。加えて両国の関係でカウパース総領事が話題にしたのは第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害からリトアニアに逃れたユダヤ人たちを救った両国外交官による「命のビザ」リレーのことでした。当時の首都カウナスにいた杉原千畝領事代理が本国の意向に背いて日本行きのビザを発行したことはよく知られていますが、その前にオランダのヤン・ツバルテンダイク領事代理がカリブ海に浮かぶ蘭領キュラソー島へのビザ(非正規のものでしたが)を発行していたから日本に入国することができたことも分かっています。カウパース総領事は、このストーリーは福井県敦賀市の文化施設「人道の港  敦賀ムゼウム」でパネル展示されており、自身も既に見学したと伝えました。最後に大阪・関西万博での産業・医療・科学技術分野での交流への期待を語りました。

■ワークライフバランスでもトップクラス
総領事の「わが国はワークライフバランスでも世界のトップクラスです」との話に関連し、受講した大学院生がオランダの働き方事情について質問しました。カウパース総領事は、「日本と違って職場では家族の面倒を見るために早く帰ろうということになっています。働きすぎは発想の柔軟さをなくします。男女は家庭でも職場でも仕事を分け合うべきだと普通に認識されています」と回答しました。

また、「ウクライナ避難民の流入で地価が上がっていると言われましたが、家を買えなくなっているという状況がありますか」と別の学生が尋ねました。カウパース総領事は「住居を確保するためにもっと多くの家が必要ですが、環境への負荷を考えるとそれは困難です」と、答えました。

最後に「オランダでは集団より個人に重きを置く教育になっていますか」との質問にはカウパース総領事は「小学校から高校まではグループ学習に重点を置きます。高校からは個人の希望に合わせた教科が導入され、大学教育へと続きます」と答えました。