神戸学院大学

国際交流

駐神戸韓国総領事館の梁起豪総領事が特別講義で「最も大事な隣国」への思いを語りました

2022/10/07

講義する梁起豪総領事
講義する梁起豪総領事
中村学長(中央)らを表敬訪問した梁総領事(右隣)
中村学長(中央)らを表敬訪問した梁総領事(右隣)
梁総領事の講義を聴く学生たち
梁総領事の講義を聴く学生たち
学生からの質問に答える梁総領事(右)。左は国際交流センターの岡部所長
学生からの質問に答える梁総領事(右)。左は国際交流センターの岡部所長
有瀬キャンパスで梁総領事を囲む受講生ら
有瀬キャンパスで梁総領事を囲む受講生ら

駐神戸大韓民国総領事館の梁起豪(ヤン・ギホ)総領事の特別講義が10月5日、有瀬キャンパスで行われました。国際交流センターが企画した「総領事館連携講義」の最初の講師として招きました。

講義に先立ち、梁総領事は中村恵学長、津田裕子副学長、住智明大学事務局長を表敬訪問しました。中村学長は「政治的な問題はありますが、学生たちの韓国に対する関心は高いです。若い人たちに韓国について教えていただけるのはありがたいです」と述べ、特別授業への期待を伝えました。梁総領事も「日本の若者と接する良い機会を与えていただきました」と、返礼の言葉を返しました。

梁総領事は、ソウルの聖公会大学教授として政治学を教えていました。慶応義塾大学で博士号も取得しており、昨年12月の総領事就任まで日本滞在は7年。講義は「最も大事な隣国:韓国と日本―金大中・小渕共同宣言と新しい韓日関係の構築―」と題し、流暢な日本語で行いました。担当教授の岡部芳彦・国際交流センター所長が司会進行を担当しました。

まず、日本と韓国はいずれも漢字を使い、儒教が影響を与えている文化圏にあり、米を主食とし、はしを使うという共通点の多さを指摘しました。民主主義や人権重視の価値観を共有する隣国として国際関係や環境保全などあらゆる問題に協力して取り組むパートナーシップの大切さも強調。その精神に基づき、1998年に当時の金大中大統領と小渕恵三首相が発表した日韓共同宣言と行動計画の内容を紹介し、「日本は過去を直視し、韓国も未来志向によって、友好関係を築く」とした当時の両国を「最も成熟した関係でした」と評価しました。

対立が目立つ最近の日韓関係については、むしろ長い両国の友好の歴史に注目すべきだとして江戸時代の1607年から1811年にかけて朝鮮から日本に12回も派遣された「朝鮮通信使」の果たした役割の大きさや文化遺産について述べました。また、海峡を隔てて朝鮮半島を望む対馬藩(現・長崎県対馬市)に仕えた江戸中期の儒学者、雨森芳州が「誠心の交わり」の態度で朝鮮外交にあたったことも紹介しました。

学生からは、「将来、神戸空港から国際線が就航し、韓国に直行便が飛ぶ時代になるかもしれませんが、ソウル以外にお薦めの場所はありますか」との質問がありました。「韓国は地方も観光開発が進み、スキー場、ゴルフ場などもたくさんあります。韓流ドラマ『冬のソナタ』の舞台になった江原道(カンウォンド)は山が多く、紅葉狩りが楽しめます」と梁総領事は答えました。

また、「(徴用工問題などで)悪化した日韓関係の改善の見込み、着地点は」と難しい質問も出ました。梁総領事も即答は難しい様子で、「被害者がおられる問題は、当事者に納得していただく必要があるのと、司法の判断があるので、政治だけで簡単に解決できないという事情があります。しかしながら、相互理解が深まることによって解決できると私自身は期待しています」と述べました