本学でウクライナ学生支援会の支援によって日本で学ぶ学生たちの学習成果発表会が開かれました
2025/08/29
在神戸ウクライナ名誉領事館のあるポートアイランド第2キャンパスで8月29日、有志の日本語学校で構成するウクライナ学生支援会(JSUS)の支援によって日本で学ぶ学生たちの学習成果発表会が開かれました。企業関係者も多数参加しました。
学生たちはロシアの軍事侵攻から逃れ、JSUSから渡航費を支給されて来日し、日本語学校などで無料の授業を受けています。JSUSは軍事侵攻を機に、大阪市阿倍野区の専門学校「清風情報工科学院」の平岡憲人専務理事・校長が日本語学校経営者らに声をかけて2022年4月に設立しました。
JSUSプロジェクトの概要を説明したコーディネーターのグゼンコ・テティアナさんによると、2022年から2024年にかけて第1期生として102人のウクライナ人学生を受け入れ、日本語を無料で学んでもらうとともに生活支援も行いました。
2025年からは祖国の復興支援に関わる意志のある学生に対象を絞って10人を受け入れました。日本語の学習に加えて日本の災害復興の経験を学び、農業体験、デザイン思考の講座の受講、ジョブマッチングイベントへの参加などに取り組んでおり、将来、ウクライナの平和と復興のために貢献してもらえるようなプログラムを組んでいます。
発表会の司会は自身もウクライナから避難した大学院人間文化学研究科修士課程のトライノ・アンナさんが務めました。名誉領事を務める岡部芳彦国際交流センター所長による歓迎のあいさつに続き、学生らへのデザイン思考のレクチャーを担当した竹居直哉さんが、課題解決のために「仮説→行動→振り返り」の繰り返しで各自のアイデアをまとめてもらったことを紹介しました。
続いて学生ら7人が対面で、海外在住の3人が画面上で学習成果を報告しました。トカッチ・ヴィクトリアさんは「ラーニングハブという場所を作ろう」と提案。ウクライナ国内で避難を余儀なくされた人たちが生活を取り戻すための場所で、企業が求めるスキルを習得してもらい、メンタルヘルスや法律に関するサポートも提供、国内に使われていない施設はたくさんあるので、そうした施設を利用して運営することを提案しました。
ブニイ・ソフィアさんは「AIコンプライアンス アシスタント」の開発を提案しました。オープンな企業・人物情報を自動的に収集・整理し、ロシアの軍事侵攻を支える制裁対象の取引先やリスクのある相手との取引を防ぐAIツールなのだといいます。ほかにも、心のサポートのプロジェクトなど、戦争で心が傷ついた人を癒やす提案が相次ぎました。
最後に平岡校長があいさつし、「私たちの学校で学んでいるウクライナ人学生たちは飛行機の音やパトカー、救急車のサイレンにも驚きます。戦争のせいです。学生の多くは日本に残って学んだり、就職を希望したりしています。企業の皆さんはぜひ学生に声をかけていただき、インターンシップの受け入れや企業説明会の開催などでご協力いただければうれしいです」と述べました。
平岡校長からは岡部名誉領事に胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅が感謝の印として贈られました。発表会終了後は交流会を開催しました。
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