神戸学院大学

寄贈図書のお知らせ

2021/04/13

図書紹介

書名:ヨーロッパ複合国家論の可能性 歴史学と思想史の対話
著者:佐藤 一進 法学部准教授 他
   岩井 淳(編集),竹澤 祐丈(編集)
発行所:ミネルヴァ書房
発行年月日:2021年5月(356ページ)

【紹介文】
「複合国家」とは、そもそも、どのような国家概念なのでしょうか。そして「複合国家」の歴史的展開と、その思想史的な意味とは、いかなるものなのでしょうか。現代世界では、なおも進行するグローバリゼーションの反面で、従来の主権国家の枠組に基づいた排外主義や保護主義が台頭をみせ、国際関係において、また、各国内において、社会的な分断や不寛容がはびこりつつあります。本書は、グローバリゼーションと脱グローバリゼーションがあいまって生み出されている、こうした現状の矛盾を相対化するために、ブリテン(連合王国、すなわち、いわゆる「イギリス」)を分析と検討の主たる対象とし、主権国家論を前提とする従来のパースペクティヴを刷新することで、ヨーロッパ近代の歴史過程に埋もれてきた「国家」の多面性と多元性、その重層性と可塑性に光を当てるものです。また、こうした狙いを達成するべく、さまざまに具体的な事例と主題に即しながら、西洋史学と思想史学という異なる領域の研究者の協同によって編み上げられた本書は、ブリテンやヨーロッパのみならず、日本も含めたあらゆる現代国家に備わる「複合性」の認識へと読者を誘うとともに、「複合国家」論の現代的な可能性を豊かに示唆するものでもあります。