2025年度男女共同参画・ジェンダー卒論発表会を開催しました
2026/02/20
男女共同参画推進室主催の2025年度男女共同参画・ジェンダー卒論発表会が2月13日、ポートアイランド第1キャンパスにて、オンラインも併用したハイブリッド形式で開催されました。
8回目となる開催で、人文学部の4人が発表しました。発表後は教員と学生から質問やコメントがあり、内容の理解を深めました。
参加者全員による投票の結果、最優秀賞に三村瑞悠さんの「スーパー戦隊論ー50年の変遷ー」が選ばれました。優秀賞には青木蔵人さんの「異性装における性差ースカート男子に着目してー」、針崎史帆さんの「『らんま1/2』の変遷~ジェンダーの視点から~」、藤吉敏江さんの「日本におけるタトゥーとジェンダー」が選ばれました。受賞した学生らは指導教員やアンケートに協力してくれた学生らへの謝意を述べました。
最優秀賞の三村さんの研究は『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)から始まり、第49作目の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』まで半世紀も続いた東映制作の特撮シリーズに登場する「スーパー戦隊」のキャラクターをジェンダーの視点から掘り下げました。戦隊の面々は色分けされたスーツをまとって戦うスタイルは変わらないことに目を向け、色を記号的に利用し、キャラクターの性格などを色とリンクさせていたと特徴づけました。
1983年までスーパー戦隊の中で女性は1人、スーツはピンクのみだったのに対し、『超電子バイオマン』(1984年)からは2人に増え、色もピンクとイエローになったのが節目の一つでした。三村さんは、1985年に男女雇用機会均等法の成立や女子差別撤廃条約の批准があり、前年から既に同法や条約をめぐる議論が高まっていたという社会背景があり、女性の継続的な社会進出を促そうという時代の流れに乗ったことも指摘しました。
シリーズを重ねるごとに、女性戦士のスーツの色には多様な変化が生まれ、「ピンク=優しさ、かわいらしさ」といった色ごとに固定された性格の特徴も変わっていくのに対し、女性戦士に割り当てられる性格そのものには変化がないことも分かったといいます。このことから「男性社会の中で女性に求められる(期待される)役割」が変わっていないことがジェンダー問題における今後の課題でもあるとまとめました。
また、戦隊リーダーの変遷についても検討し、男性リーダーのみだった時代を経て女性のリーダーが登場、リーダーの選ばれ方も「出自」を根拠にする時代から「能力」を根拠にする時代へと変わり、「成長を期待された」リーダーが登場するに至ると指摘して締めくくりました。
優秀賞の3人のうち青木さんの発表は男性が街中でスカートをはいているのを見た時にどのように感じるかなどの質問を用意して本学学生にアンケート調査し、スカート男子に対する肯定的または中立的な意見が約7割を占めることなどを紹介しました。
針崎さんの発表は高橋留美子さん原作のアニメ『らんま1/2』を題材に、1989年版のテレビアニメと2024年のリメイク版を比較して、セリフの中の「女の子らしくしないと」との表現が消えるなど、ジェンダー表現の変化を指摘しました。
藤吉さんの発表は、「自分の子ども(男女別、成人・未成年別)がタトゥーを入れるのをどう思うか」などと質問した本学学生へのアンケートから若者のタトゥー観を考察し、タトゥーを入れているか、入れようと思っている人にもインタビューしました。
講評として、伊藤亜都子・男女共同参画推進室副室長(現代社会学部教授)は、「それぞれが自分の関心を深めて調査・探究した素晴らしい発表でした。若い皆さんがこれからの社会をより生きやすい世の中へと変える力になると感じられました」と述べました。
最後に中山文・男女共同参画推進室長(人文学部教授)が受賞した学生4人に表彰状と副賞の図書カードを贈ってたたえ、「ジェンダーの面から考えると新しい視点が生まれますが、それだけでは研究としては不十分で、作成にかけた時間に比例して良い論文になることが分かります」と講評しました。それぞれの発表については、「最優秀の三村さんのスーパー戦隊を題材にした研究は、先日学内で開かれた男女共同参画推進委員会の中の女性リーダーがなかなか目標数に達しないという課題と共通していました。青木さんの研究は、男性がスカートを履いて自己主張するには現在でも覚悟が必要なこと、またその覚悟は周囲に理解され受容されてきた経験から生まれていることを教えてくれました。針崎さんの発表は、大学で学んだジェンダー学の視点から同一作品における25年間の変化を一つのセリフで浮かび上がらせました。まさに本学のジェンダー教育の成果が生きていると感じたうれしい卒業論文でした。藤吉さんの成果を拝見し、他人のタトゥーには寛容でも自分の母親には容認できないという結果に、母と子の特別な関係性を感じました。将来自分も母親になるかもしれないと考えると、簡単に決断できないことですね」と感想を述べました。
要旨集と論文集は、ポートアイランド第1キャンパスD号館4階の男女共同参画推進室でご覧いただけます。
