神戸学院大学

ウクライナの戦争で亡くなった学生を悼む「発行されなかった卒業証書展」が本学図書館有瀬館で始まり、企画した避難学生の話を経済学部の授業で聴きました(「卒業証書展」は学内向けで一般には公開しておりません)

2023/06/01

オープニングセレモニーであいさつする中村学長(左端)、マリヤさんとマクシムさん、司会の岡部所長(右端)
オープニングセレモニーであいさつする中村学長(左端)、マリヤさんとマクシムさん、司会の岡部所長(右端)
展示の準備を手伝う経済学部の学生たち
展示の準備を手伝う経済学部の学生たち
展示を見る学生たち
展示を見る学生たち
失われた命を記憶にとどめる「不発行の卒業証書」
失われた命を記憶にとどめる「不発行の卒業証書」
授業で話すマクシムさん(右)と妻のマリヤさん
授業で話すマクシムさん(右)と妻のマリヤさん
展示を企画した2人の話を聞く授業に出席した経済学部の学生たち
展示を企画した2人の話を聞く授業に出席した経済学部の学生たち

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で亡くなった学生を悼む「発行されなかった卒業証書展」が5月31日、本学図書館有瀬館で始まりました。企画したウクライナからの避難学生2人が参加し、同館でオープニングセレモニーを実施しました。展示は6月30日までの予定ですが、学内対象のイベントのため、一般には公開しておりません。

同展はキーウ・モヒーラー・アカデミー国立大学の学生が企画し、世界各地で開催されています。ウクライナの戦争で犠牲となった学生のうち、17~26歳の36人の写真と、生前好きだったことや将来の夢などを文章にまとめて「未発行の卒業証書」として通路のガラス窓に展示しています。

セレモニーは、ウクライナを研究する国際交流センターの岡部芳彦所長(経済学部教授)の司会で開会しました。あいさつした中村恵学長はまず、終わることのない戦争の歴史を振り返りました。続いて1960年代にベトナム戦争を背景に反戦歌として全世界でヒットした米国のフォークソング『Where Have All the Flowers Gone?(花はどこへ行った)』がロシアの作家、ショーロホフの小説『静かなドン』(に登場するコサックの歌)に着想を得たと言われるとして、「この小説の舞台が実は今のウクライナなのです」と紹介しました。曲の最後の歌詞『When will you ever learn?(君たちはいったいいつになったら学ぶのか)』がウクライナで戦争の悲劇が繰り返されている今、再び重みを持っていることを指摘し、戦争の悲惨さと、同じ学生の犠牲者のことをしっかりと目に焼き付けるためにも、展示を多くの学生に見てもらいたいと訴えました。

展示を企画した同国立大学4年のマリヤ・ポンダレンコさんと夫のマクシム・ペトレンコさんさん夫妻も「展示されているこの人たちの笑顔を覚えておいてください。そうすれば、ウクライナが何を守りたいのかが分かっていただけます」と静かに語りました。夫妻は国際関係を専攻していましたが、神戸市内に避難して日本語学校に通っています。

式典の後、岡部所長が担当する経済学部の「ウクライナ事情」の授業で、マリヤさんとマクシムさんが企画の趣旨などについて語りました。マクシムさんは「無数の命が永遠に失われました。ロシア軍はウクライナの男も女も子どももお年寄りも殺害しました」と非難しました。マリヤさんは「戦争があることは忘れないでください。これに慣れてはいけません。失われた命が無駄にならないようにウクライナを応援し続けてください」と訴えました。

聞いていた学生からは「この戦争を広く伝えるために私たちはどうすればいいか」「G7広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領が出席したことは意味があったか」などと質問が相次ぎました。マリヤさんは「この展示会も戦争を伝える方法の一つです」「G7広島サミットはウクライナの今の悲惨な状況を世界のリーダーたちに伝える大きな一歩になりました」と力強く答えました。

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