「総領事館連携講義」で大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事が講義しました
2025/11/28
共通教育科目の授業として企画された「総領事館連携講義」で11月26日、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館のメラニー・ザクシンガー総領事がポートアイランド第1キャンパスで講義しました。有瀬キャンパスともオンラインで結んで実施しました。
■神戸とドイツとの深い縁
講義に先立ちザクシンガー総領事は国際交流センターの岡部芳彦所長の案内で備酒伸彦学長と高山修大学事務局長を表明訪問。阪神・淡路大震災(1995年)で全壊した総領事館が大阪に移されるまでは約130年間も神戸に置かれており、神戸との縁の深さに触れました。本学はドイツに協定校がなく、機会を見てドイツの大学や学生とも交流を進めていきたいとの認識で一致しました。
ザクシンガー総領事は、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院などで政治学と国際関係学を専攻。東京の大使館や国連ドイツ連邦共和国代表部(米・ニューヨーク)勤務などを経て来日し、2023年9月から現職に就任しました。
講義はドイツの歴史、現代の国の課題、日本との関係についてでした。神戸に兵庫・大阪ドイツ帝国領事館が開設されたのは1874年。この間、1945年の神戸大空襲による建物の壊滅など苦難と変遷を経て昨年、総領事館としては開設150年を祝ったことを紹介しました。東西冷戦による国家の分裂を経て1989年には東西ドイツを分断していたベルリンの壁が崩れ、念願のドイツ統一が実現したという歴史の節目にも触れました。
現代のドイツが抱える課題としては、人口動態の変化(少子高齢化)、移民の増加による諸問題、右翼勢力の台頭による政治の不安定化などを挙げました。
■「日本はプレミアムパートナー」
日独関係については、「資源が少なく輸出立国であり、法治国家でもあることなど両国は共通点がたくさんあります。わが国の外務大臣は日本がプレミアムパートナーであると表現し、安全保障面などで緊密な関係にあります」と述べました。ベートーベンの交響曲「第九」の日本での初演は、1918年、徳島県鳴門市の板東俘虜収容所に収容されていた第1次大戦のドイツ人捕虜たちによるものだったことも紹介しました。
神戸市とハンブルク市は水素エネルギーの利用で協力関係にあり、バイオ医療の分野などでも両国は関係を深めているとのことでした。この半年間の総領事の最大の仕事は大阪・関西万博でのドイツパビリオンの運営とPR。ドイツ館は博覧会国際事務局のサステナビリティアワードを受賞したほか、ドイツ館のテーマ「わ! ドイツ」のイメージを表現したかわいいマスコット、サーキュラーはマスコットたちの人気コンテストで優勝したこともうれしい話題だったようです。
■「外国と触れ合う仕事は楽しい」
学生からは「外交官を目指したきっかけは何ですか」との質問が出ました。ザクシンガー総領事は、「子どもの頃にスペインに3年間住み、大人になったら外国と関係する仕事をしたいと思いました。人生の中でいろいろな国を知ることができて、私は自分の仕事が大好きです。外交官にならなくても外国と触れ合う仕事につかれることをお勧めします」と答えました。さらに「文化と文化の交流を取り持つ外交官の仕事はAIに取って代わられることはありません。世界では外に向かって国を閉ざす傾向がある今日、外交には大切な役割があります」と付け加えました。
また、別の学生からは「ドイツの学校では自国の歴史を教えるときはどの時代からどの時代になりますか」との質問が出ました。ザクシンガー総領事は「中世以降です。特に第1次、第2次世界大戦については詳しく教えます。ナチスによるユダヤ人虐殺はその後の世界に大きな影響を与えました。これはドイツ人が決して忘れてはならない、また二度と繰り返してはならない歴史です」と答えました。
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