東日本大震災の1周年事業を開催しました
2012/03/12
死者1万5千人以上という未曾有の被害を出した東日本大震災から丸1年となる3月11日、ポートアイランドキャンパスで本学主催の1周年事業「東日本大震災復興に向けて 私たちに出来ること」(ひょうごボランタリープラザ共催、アジア防災センター、国際復興支援プラットフォームなど後援)が開催され、200人以上が参加しました。地震が発生した午後2時46分に全員で黙祷し、犠牲者の冥福を祈るとともに、シンポジウムでは若者のボランティア参加の意味や、今後の継続した支援のあり方などについて考えました。
公開プログラムは午後2時から、学生放送局の真鍋亜衣さん(人文学部2年次生)の司会で始まり、岡田豊基学長が開会のあいさつ。続いて、「学生としての協働活動について」をテーマに午前中行われたワークショップの成果について、中田真吾さん(経済学部3年次生)や山東天馬さん(経営学部2年次生)ら7班の代表が内容を発表。学生ボランティア団体・社会リハビリテーション研究会会長、市田響さん(総合リハビリテーション学部2年次生)は「阪神・淡路大震災から根気強く復興したプロセスを知ることで、東北の方々に支援ができるのではないか。震災を風化させないために、シンポジウムの定期的な開催や募金活動を継続していくことが求められる」と報告しました。
全員で黙祷の後、被災地NGO恊働センター代表、村井雅清さんが「大震災の復興の現状について、NGOの取り組みから」の演題で基調講演。村井さんは、新聞記事をスクリーンに映し出しながら被災地の状況を報告するとともに、被災地NGO恊働センターがこの1年間に行った活動として、タオル製の“まけないぞう”基金を積み立てていることや、被災地から被災地へのリレーとして兵庫県佐用町から宮城県石巻市へ竹炭を運んだことなどを紹介。「人間には回復力があると言われている。ハード面には限界があるが、地域のコミュニティーに支えられ、一人ひとりが回復力をつけていく」「(被災者は)足湯ボランティアに訪れた学生につらい体験を話すことで、気持ちを整理できる」などと述べ、「(復興では)百人の意見を聞いてもまとまらないから多数決で決するというふうになりがちだが、百人の意見を聞くことはできる。すべてを聞き入れることはできないが、他の人の意見を聞いて合意形成することは可能。従来はこうした作業が欠けていた」と指摘しました。
後半は、村井さんのほか、本学の学生が中心になり、津波被害に遭った写真を復元する取り組み「あなたの思い出まもり隊」を支援しているセイコーエプソン株式会社の茅野恒夫人事本部総務部主査▽兵庫県の小山達也防災事業係長▽兵庫医療大学3年次生の綱澤英美さん▽盛岡俊介さん(総合リハビリテーション学部3年次生)▽金澤愛香さん(人文学部3年次生)が「若者のボランティア参加の意味、それを支えるしくみづくり」をテーマにシンポジウムを開催。舩木伸江・人文学部准教授がコーディネーターを務めました。
学生ボランティアへのアドバイスとして、村井さんは「思ったことを行動に移してほしい」、小山さんは「(阪神大震災を体験した)神戸から来たというだけで分かってもらえる、神戸の学生という特権を最大限に使ってやってほしい」、茅野さんは「出来ることを、出来る範囲で長く続けていただきたい」と述べました。
終了後、盛岡さんは「昨年5月、ボランティアで宮城県石巻市へ行きました。避難場所だった高台から被災地を見下ろした時、自分が終日かかってがれきを撤去した場所が、点のようなほんの一部分にすぎないことを知り、無気力感に取り付かれました」と、被害の大きさにショックを受けた体験を語り、「ボランティアに参加したことがない学生には、何かきっかけが必要ですが、報告会などを開いて情報を伝達していくしかないです」と話していました。