第23回神戸学院大学法学部法律討論会
2023/11/20
日時 | 2023/12/02 (土) 13時開始、17時30分終了予定 |
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会場 | ポートアイランドキャンパス 神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパスB302講義室(B号館3階) |
【出題者兼審査員長】
加藤 雅之(かとう・まさゆき、日本大学法学部・教授)
【司会者】
村上 優太(むらかみ・ゆうた、弁護士=愛知県弁護士会所属=、神戸学院大学法学部2009年3月卒業)
【審査員】
足立 公志朗(あだち・こうしろう、神戸学院大学法学部・准教授)
隅谷 史人(すみたに・ふみと、金沢大学人間社会研究域法学系・准教授、神戸学院大学法学部2008年3月卒業)
春山 広起(はるやま・ひろき、弁護士=大阪弁護士会所属=、神戸学院大学法学部2016年3月卒業、関西大学大学院法務研究科2019年3月修了)
【参加団体】
神戸学院大学法学部・小松昭人ゼミナール(演習Ⅰおよび演習Ⅱ)
同・笹川明道ゼミナール(演習Ⅰおよび演習Ⅱ)
同・廣峰正子ゼミナール(演習Ⅰ)
摂南大学法学部・城内明ゼミナール(3年次)
【タイムテーブル】
12:30 開場(B302)
13:00 開会宣言(B302)
13:20 第一立論開始(B302)
13:50 第二立論開始(B302)
14:25 小休憩(15分、進行状況によっては10分に短縮)
14:40 第三立論開始(B302)
15:10 第四立論開始(B302)
15:40 討論終結
休憩(〜16:40、審査の都合により延長あり)
審査開始
16:40 審査員、出題者からの講評、成績発表、表彰(B302)
17:30 閉会宣言(B302)
出席カード、回収開始(B302)
第23回 神戸学院大学法学部 法律討論会 問題
【事案】
AはH県において居酒屋を経営しており、国内外のクラフトビールと地元の食材を使った料理で人気を得ていた。こうした中、昨今のクラフトビール人気の影響で2023年10月より大型ターミナル駅内のショッピングセンターにビアバー(以下、本件ビアバー)を出店することとなった。
競争の激しい駅ビルにテナント出店するということで、Aは目玉として本件ビアバーのオリジナルクラフトビールを提供することを決め、心地よい後味が人気のクラフトビール醸造所Bにオリジナルビールの製作を依頼することに決めた。
2023年4月、AはBの代表者Cと交渉し、まず2種類のオリジナルビールを製造し、その後は売れ行きに応じて種類を増やしていきたい旨を伝えた。Cはすでに製造中の2種類のビールを持参していたが、その場でそれらを試飲しその味に満足したAは、Bとの間で正式にオリジナルビールの製作・製造を委託し、継続的に購入する契約(本件第一契約)を締結した。
AB間の契約では、地元の食材を利用した2種類のクラフトビールをBが製作し、2023年10月のビールを第1弾として、その後2カ月ごとに季節に応じて風味を変えたビールをBが継続的に供給していくことが合意され、AはBに対してオリジナルビールの開発費用として50万円を支払うとともに、ビールの代金として同年9月から1年間にわたり毎月100万円を支払うことが合意された。第1弾のビールについては、同年10月の本件ビアバーの開店に合わせて、同年9月10日に完成品を引き渡すこととし、その前にBが試作品を持参し、味の調整等をすることとなった。
また、Bの製作するビールは微妙な温度管理が必要となるところ、Aはこれに対応できる倉庫のあてがなかったため、Bが管理する倉庫の一つを2023年9月から1年間月額20万円でBから賃借する契約(本件第二契約)をBとの間で締結した。
こうしてAから開発費用50万円の支払いを受け、オリジナルビールの製作を始めたBであったが、実はB創業以来のビール職人DがCとの意見対立により退職したこともあり、それまでと同じ品質のクラフトビールを製作することが難しくなっていた。2023年8月にBからAに2回にわたり試作品が提供されたが、その品質はいずれもBが製造するビールの特徴である心地よい後味には程遠く、Aの期待を大きく裏切るものであった。AはCに対して「これではうちの店では提供できない」旨を伝えた。
2023年9月10日にBから納入された完成品も試作品とほとんど変わらないものであり、AはB側の不誠実な対応に不信感を持つとともにBとの契約を解消する方向であることを告げた。これに対してBの代表者CはAに対して、「ビアバーの開店までには何とか間に合わせるから、もう一度作り直させてほしい」と言ったが、AとしてはもはやBには期待できず、オリジナルビールは別の醸造所に急ピッチで製造を依頼することを考えている。
【設問】
Aは、Bとの本件第一契約および本件第二契約を解除することができるか。
問題公表日:2023年10月17日(火)
出題者:加藤 雅之教授(日本大学法学部)
●「神戸学院大学法学部法律討論会」とは
神戸学院大学法学部では、民法を専攻するゼミ(演習Ⅰ、演習Ⅱ)を中心に、年1回、「神戸学院大学法学部法律討論会」を開催しています。本討論会は、おおむね、以下のように実施しています。
① 民法を専攻する研究者の大学教員に、問題の作成を依頼しています。今回の法律討論会では、日本大学法学部の加藤雅之教授(民法専攻)に、問題の作成並びに当日の審査講評をご担当頂いています。
② 問題は、討論会開催の約1カ月前に、一斉に公表されます。その時から、討論会の各参加団体に所属する学生たちは、団体内で問題を検討し、「立論」と呼ばれる解答を作成します。
③ 討論会の各参加団体は、所属する学生のうちから、「討論代表者」を3人以内選出します。討論会の当日、各団体の討論代表者のうちの1人(以下、この者を「立論者」と呼びます。)は、会場において、10分以内で自分の立論を発表します。次いで、3分間の質問考慮時間を挟んで、約12分間、会場内にいる人の質問に答えます。会場内にいる人は、教員など一部例外を除き、誰であれ、討論代表者に対して、自由に質問をすることができます。
④ 出題者は、討論会の当日、立論および質疑応答の審査を担当します。また、より公平な審査を実現するために、出題者を含め、複数の審査員が審査を行います。審査員には、本学法学部や他大学の専任教員だけでなく、最近では、在学中に本討論会に参加した本学法学部の卒業生で、大学教員になった者や、近年司法試験に合格し弁護士として活躍している者が、審査講評を担当しています。
⑤ 討論会の閉会式で、審査の結果に従って、質問の部については上位3位までの質問者を、立論の部については上位2位までの団体を表彰し、副賞を授与します。
本討論会の歴史は、2003年度に、民法専攻の若手有志教員が、ゼミで民法を学んだ成果を問う機会を学生に与える目的で「民法討論会」を開催したことに始まります。その後、途中名称を「法律討論会」と改めましたが、昨年12月実施の討論会で、第22回を数えるまでになりました。
今回の討論会には、学外から摂南大学法学部の民法ゼミが参加します。このように、本討論会は、本学法学部の民法ゼミの枠を超えて、学内外の参加団体との切磋琢磨の場となっています。
多くの皆さんのご参加をお待ちしています。なお、ご参加の際は、立論や質疑応答において条文に言及することが多いので、六法をご持参ください。